問題解決のツール「マンダラチャート」2020/04/09 07:05

 吉田篤生さんは、「曼荼羅」を由来とする問題解決のツールに「マンダラチャ ート」というのがあると、説明する。 これについては、私も以前興味を持っ て、書いたことがあった。 「マンダラート」ソリューション<小人閑居日記 2018.4.25.>、 大谷翔平選手の「マンダラート」<小人閑居日記 2018.4.26.>

       「マンダラート」ソリューション<小人閑居日記 2018.4.25.>

「オオタニサーーン!」エンゼルス・大谷翔平選手の活躍で、花巻東高校時 代に書いたという「81マス」が、話題になっている。 1988(昭和63)年3 月25日の「等々力短信」第456号に「観自在マンダラ」というのを書いてい た。

         等々力短信 第456号 1988(昭和63)年3月25日

                  観自在マンダラ

 バインダー手帳の流行に、触発されて読んだものの中で、今泉浩晃さんの『創 造性を高める メモ学入門』(日本実業出版社)という本が、面白かった。 ハ ウツウもののように思われるかもしれないが、そうではない。 「メモという、 ささいな行為、ささいな技術を通して、人生を語り、生きがいを創り、人間と して持っている潜在能力を引きだし、創造性を開発し、能力を高め、充実した 生活を創りだそうよ、創りだせるよ」という哲学を背景にした、生き方の提案 なのである。 具体的には、一枚の紙を九つのブロックに分割した「マンダラ ート」とよぶメモ用紙を使い、四方八方、自由自在に、関係のありそうな思い つきを、書き込んでいく。 九つの空欄を強制的に埋めさせるのが、マンダラ のミソで、これまでに得た知識や情報が、視覚的に、目に見える形で、ネット ワークとして体系づけられ、整理されて出てくる。 つまり、モノが見えてく る。  マンダラートで、今泉さんが説いているのは、私たちが今までの人生経験の 中で蓄えてきた膨大な量の知識を、どのようにしたら智慧に変えられるか、活 用できるかという方法だ。 頭の中に既にある知識を引き出し(潜在意識を活 性化させ)、組み合わせ、新しい結合を創ってやることによって、問題を解決し ていこうという。 この技法が、梅棹忠夫「こざね法」や川喜多二郎「KJ法」 の、大きな流れの中にあるのは、確かだ。  情報の収集整理と、その利用において、もっとも陥りやすい失敗は、それが マニア的な「収集のための収集」になってしまうことである。 「活用するこ とが目的で、保存しておくことは手段にすぎない」というのが、ファイリング の原則だそうだ。 この世の中、知ってはいる、わかってはいるけれど、実行 に結びつかないことが、たくさんある。 道具立てだって、けっこう整ってい るのだ。 ただし、使いこなしているかとなると、疑問である。 カード一つ にしても、それをたえず、くったり、かきまぜたりして、採集した情報を、ど う現在の課題に生かすかが、問題なのだ。 わかっては、いるのよ。  思い立ったが吉日、5×3カードに縦二本横二本の茶色の線を引いて、九つ の空欄を持った「マンダラ」カードを作り、使い始めた。 それが、はたして 今泉さんの御託宣の通り、昼アンドンのごとき日常を送っている私にも、パチ ンコ屋のイルミネーションのように輝く、創造の火をともし、活力に満ちた充 実した日々を、もたらすのであろうか。 南無マンダーラ、マンダラゲ。

        大谷翔平選手の「マンダラート」<小人閑居日記 2018.4.26.>

 「大谷翔平の魔法の81マス」を、テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」 (4月10日)で見た。 花巻東高校野球部の佐々木洋監督は「マンダラート」 の方法を使って、1年生に「達成するための目標」を書かせるのだそうだ。 「8 1マス」というのは、まず中心となる大目標の「マンダラート」を埋め、その 8マスを八方の「マンダラート」の中心に展開して、それぞれの「マンダラー ト」を埋めていく。 9マス×9で「81マス」になるわけだ。  1年生大谷翔平選手は、「マンダラート」の大目標を「ドラ1・8球団」、つま り高校卒業時に8球団からドラフト1位に指名されることに置き、周囲の8マ スを「体作り」「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「運」「人 間性」「メンタル」とした。 凄いのは、「運」「人間性」「メンタル」と書いて いることだ。 高校1年生の野球選手が、こんなことを目標にするだろうか。  「運」の「マンダラート」8マスに、どんなことを書いているか。 「あい さつ」「ゴミ拾い」「部屋掃除」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人 間になる」「プラス思考」「道具を大切に使う」。  「人間性」の「マンダラート」8マスには、「感性」「愛される人間」「仲間を 思いやる心」「感謝」「継続力」「信頼される人間」「礼儀」「思いやり」。 「メンタル」の「マンダラート」8マスには、「はっきりした目標、目的をも つ」「一喜一憂しない」「頭は冷静に、心は熱く」「雰囲気に流されない」「仲間 を思いやる心」「勝利への執念」「波を作らない」「ピンチに強い」。 こうした心掛けが、インタビューを聞いていても、いつも冷静で、一喜一憂 しない姿勢、ファンからもチームメートからも愛されている、好青年をつくっ たのだろう。 「仲間を思いやる心」が、二か所に出てくるのが、微笑ましい。