伊丹レイ子先生と『ジョンソン博士語録』2020/04/19 07:34

 昨日、伊丹レイ子名誉教授の2006年11月11日の「復活!慶應義塾の名講 義」の話を書いて、本棚を見たら、伊丹レイ子監修『ジョンソン博士語録』((株) パレード・2007年)に挟まった、ご夫君伊丹吉彦さんのお手紙が出てきた。 伊 丹レイ子先生は、商学部で教えていらしたので習ったことはないが、ご夫妻で いつも福澤諭吉協会の旅行や土曜セミナーに参加されていたので、顔なじみな のであった。

 お手紙は2007年3月28日付だった。 「おきき及びのこととは思いますが、 レイ子は、2月12日に悪性リンパ腫のため急逝しました。昨年の秋頃より胃の 不調を訴えていたのですが、あの11月11日の三田での里帰り講義の準備や、 『ジョンソン博士語録』の最終校正などなどのため、化学療法による治療をの ばしのばしにしていたため、死期を早めて了った様ですが、やりとげたい事を、 殆んどやりとげたという達成感を味わい、悔いはなかったと思います。」 遺品 を整理していたら、私がブログに出した講義の日記(昨日、要旨を出したもの) が出てきたとあり、講義をした『ジョンソン博士語録』、「その本が2月8日に、 レイ子の手許にとどき、それを手にすることが出来たのは、本当に、よかった と思っていますが、正しく、この本がレイ子の遺作になって了いました。」とあ り、『ジョンソン博士語録』を送って下さったのだった。

 ご本の伊丹レイ子先生の略歴。 「慶應義塾大学文学部英文学科卒業。フル ブライト留学により米国マサチュウセッツ州、マウントホリヨーク大学大学院 にて修士号(英米文学)取得。慶應義塾大学商学部教授として同大学視聴覚教 室室長、国際センター日本語教育講座を兼担した。オックスフォード大学ペン ブルック校研究員。慶應義塾大学名誉教授。」 主要著作は、『James Boswell’s Dorando A Spanish Tale(校訂註解)』『The Grand Tourの意義と変遷』『十八 世紀における二つの記録‘magazine’と‘mission’をめぐって』『Washington IrvingのHistory of New York初版と普及版の比較対象研究』『十八世紀におけ るキャリフォルニアの回廊』等。

 伊丹吉彦さんは、総合商社にお勤めされていたという温厚な方だった。 そ の後も、福澤諭吉協会の行事でお目にかかっていたが、何年か後に、『福澤手帖』 で亡くなられたことを知った。