嘘・結婚・金・老年期・喜び ― 2020/04/22 08:02
伊丹レイ子先生の「まえがき」の中に、サミュエル ジョンソン博士は、若い 時に父親が書籍販売業に従事していたこともあって、手あたり次第無秩序に身 の回りの万巻の書を読破したといわれている、とある。 オックスフォード大 学ペンブルック校にしばらく在学していたが(その縁だろう、伊丹レイ子先生 はここの研究員)、ラテン語に長じ古典学、古典語学に通じ、ペンブルック校は 「詩人の巣」であると述べている。 一方、「一文にもならないのに、ものを書 く人間は馬鹿者だ。」といったにも拘わらず数多くの随筆The Rambler(1750 -2)The Idler(1758-60)を執筆、Gentleman’s Magazineにも随時寄稿し、 18世紀の英国のジャーナリズムの先駆けといわれるほど、書きの分野で活躍し た。 従来「火薬庫」という意味のMagazineを今日の「雑誌」という語に仕 立てたのはジョンソンだった、というのが面白い、初めて知った(伊丹レイ子 先生の著『十八世紀における二つの記録‘magazine’と‘mission’をめぐっ て』に詳しいのだろう)。
『ジョンソン博士語録』は、項目別にaffection(愛情)からwomen(女性) まで、ABC順になっている。 いくつかを、拾ってみる。
lie(嘘)
‘…In lapidary inscriptions a man is not upon oath.’
「石碑に刻む文章は、宣誓して書かれたものではない。」
marriage(結婚)
‘A gentleman who had been very unhappy in marriage. married immediately after his wife died: JOHNSON said,it was the triumph of hope over experience. …
「非常に不幸な結婚生活を送った紳士が、妻が亡くなるとすぐに再婚した。 ジョンソンいわく、「それは経験を克服した希望の勝利である。・・・
money(金)
‘There are few ways in which a man can be more innocently employed than in getting money.’
「お金を稼ぐにはごく単純に仕事をするより他に手はない。」
old age(老年期)
‘Sir, as a man advance s in life, he gets what is better than admiration-judgement, to estimate things at their true value.’
「君、人が人生において年齢が進んでいくと賛美以上のものを得る。例えば、 真の価値で物事を評価するという判断力だ。」
‘It ts a man’s own fault,it is from want of use.if his mind grows torpid in old age.’
「老年期に思考が鈍くなってくるのは本人が悪いのであり、頭の使い方が足 りないことからきているのだ。」
pleasure(喜び)
…and it is very difficult to please a man against his will.
・・・自らの意志に背いてある男を喜ばせるのは大変に難しい。
‘If(said he.)I had no duties,and no reference to futurity,I would spend my life driving briskly in a post-chaise with a pretty woman: but she should be one who could understand me,and would add something to the conversation.’
「もし(と彼は言った、)私がなんらの義務もなく、将来性も皆無の人間なら、 私は美しい女と乗り合い小型馬車で快走する一生を送りたい。しかしながらそ の女は私を理解でき、会話に何かを加えてくれる人でなければ駄目だ。」
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