付け句「初御空」の巻 初折2020/04/24 07:04

本井英先生がふらんす堂のホームページに毎日連載されている「本井英の俳
句日記」(http://furansudo.com「連載」参照)のことは、1月25日の「等々
力短信」第1127号「お正月の「俳句日記」」で、少し紹介させて頂いた。 そ
の後、新型コロナウイルス感染症の拡大で、諸行事がぞくぞく中止になり、外
出自粛引き籠りの日々に、毎朝一番に拝見する「本井英の俳句日記」は、たい
へんな楽しみ、喜びになっている。 俳句はこうやってつくるのだということ
を、改めて毎朝教えられ、肝に銘じている次第だ。

小人閑居に加えての引き籠り、徒然なる時間に、先生の日記に付け句をして
みたらどうだろう、と思いついた。 形式は三十六歌仙、俳諧、連句ではある
けれど、決まり事はほとんど知らないので、季節や自と他、月や花の定座、恋
の句など、まったくルールを無視していることは、ご勘弁願いたい。 先生に
破門だと言われるかもしれないけれど、日頃から破門されそうな句ばかり詠ん
でいて、免疫があるので、大目に見て頂けるのではないかと思っている。 先
生が後ろから蛇尾吉宗(じやおきつそう)と名乗られたら、私は慈雨古婆か、
時雨古河馬とでも名乗るとするか。

    「初御空」の巻  初折
陸を祝ぎ海を祝ぐなり初御空(1月1日)
  箱に入つて颯ッと高飛び
フランスの木の芽美しとは虚子が(3月14日)
  新しき背広せめて作らん
先生が若くて好きで青き踏む(3月2日)
  ああわが青春のマリアンヌ
苜蓿の緑に染まりスニーカー(3月14日)
  地下足袋脱いで運動靴履く
大寒のわが靴音を地に残し(1月20日)
  学徒出陣壮行会雨
陽炎の記憶の庭の母若し(3月27日)
  試しに呑んだ犬のおっぱい

涅槃図に描かれて猫かはゆらし(2月15日)
  園長は大黒寺の幼稚園
島なれば椿多さの花御堂(4月8日)
  渡船に揺られお嫁にゆくの
もりあがる舳の水も温むかな(3月9日)
  ディンギを駆つてランニングする
若布干す香にレリーフの裕次郎(2月27日)
  煙草咥えてメリケン波止場
ポケットにねじこんだまま余寒の掌(2月24日)
  夜食温か徹夜勉強
本部なる特設電話大試験(3月8日)
  密かに引きし御籤大吉

カレンダーに記すイニシャル暖かし(3月7日)
  幾つ届くか義理チョコレート
バレンタインデーも早起き早寝にて(2月14日)
  睡眠時無呼吸シンドローム
初夢の中や絶対絶命に(1月3日)
  九死に一生得て腹が減り
寝そびれてをりて食積せせるかな(1月2日)
  ごろごろしててたちまち五日
よそはれしままに冷めけり薺粥(1月7日)
  わが町の浜四百四十間
海ありて丘もかなひて避寒の地(1月24日)
  軍医総監松本良順