無念の公演中止、チケットの払い戻しまで2020/07/08 06:58

 4月6日、翌日7都道府県に新型コロナウイルス特別措置法にもとづく「緊急事態宣言」が発令される、という報道がなされた。 4月7日、「緊急事態宣言」が出ると、シス・カンパニーからシアターコクーンの『桜の園』公演中止のお知らせというメールが来て、4月29日までの全公演を中止するので、5月15日までに払戻しの手続きをしてくれという。 なかなか取れないチケットを手にして、楽しみにしていたのに、まったく残念だ。 チケットぴあの関係のサイトで、払戻しの手続きをすると、締め切りの5月15日から3週間以内に、振替払出証書を送るということであった。

 「無念だ。無念という言葉の意味を今、初めて知った気がする」と、4月10日の大竹しのぶの連載『まあいいか』は始まる。 「4日に初日を迎えるはずだった舞台「桜の園」の全公演が中止になった。2月17日から稽古が始まり、皆と一緒に積み上げて来た芝居は、緊急事態宣言が発令される直前に中止が決まった。/ジ、エンドだ。すべてが消え去った。/稽古当初、「幻の名作と言われるかもしれないね、観られなかったけど、凄かったらしいよって」と冗談で笑いながら話していたっけ。4月になれば、完全に芝居はできるとタカをくくっていたのだ。」

 「ギリギリまで稽古をし、自宅待機している私たちに来た突然の連絡。「全公演中止」。さよならも、またねも、ありがとうも言えずにみんなが散っていった。今年の桜のように。」

 「2カ月かけて身体に染みついたチェーホフの世界。完璧な人間は1人も出て来ない、愚かで少し悲しく、何よりも笑える芝居だった。これぞ、チェーホフだった、と思う。観ていただくことは夢のまた夢となった。初舞台を踏むはずだった22歳の杉咲花ちゃんは、ぎっしり書き込んだ台本とノートを持って毎日キラキラした瞳で稽古に挑んでいた。稽古場でのみんなは誰もが美しかった。」

 4月23日、岡江久美子さんが亡くなった。 係りの人が玄関先の椅子に置いて行った遺骨を、大和田獏さんがドアを開けて出てきて胸に抱き、それでも報道陣のカメラに向かって、気丈に挨拶した。

 5月25日に発表があり、26日から東京などの緊急事態が解除され、休業要請などが一部解除された。 それもつかの間、6月2日感染拡大の兆候があると「東京アラート」が発せられた。 「東京アラート」は11日に解除され、ステップ3に移行、6月19日には休業要請の全面解除となった。

 チケットぴあからの振替払出証書は、締め切りの5月15日から3週間を過ぎても来なかった。 忘れた頃に、忘れずにチケットぴあのサイトを見たら、コロナウイルスのために中止になった公演の数の多さにびっくり、これでは払戻しの手続きも大変だろうとは思ったが、『桜の園』の払戻しは7月になるとあった。 7月2日付けで、振替払出証書なるものが届き、チケットの郵送代を除いて、システム利用料、特別販売手数料も戻ってきたのであった。

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