食道動脈瘤手術を四度受ける2020/10/22 07:02

 その後も何度かものがつかえることはあったが、苦しいという程でもなかったので、月イチで通っていたT大学病院の消化器内科の担当医には伝えなかった。 2019年4月の「第七回三千綱ゴルフコンペ」では、寿司が喉の奥でつかえた。 5月の連休には長野県小布施で、地酒を楽しみ、信州そばをゆっくりと咀嚼して味わった。 だが、連休が終わって家で食事をしだすと、ドスンときた。 食べたものが胃に流れず途中で立ち止まるのである。 それでも、約束でロスにいる娘と3歳になる孫と合流することになっていたハワイへ二週間、ソーメンと乾麺を大量に旅行鞄に詰めて出かけた。

 日本に帰ると、さっそくT大学病院にいって、喉がつかえる、食道が相当狭くなっていると伝えた。 消化器内科の担当医W先生は、御大外科医のO先生に連絡し、翌週、O先生による内視鏡検査を受けた。 検査は、きつかった。 内視鏡が食道を通り切らず、バルーンを使って開けた、内部の状態はよく分かったが、相当出血したので止血のために、12日間の入院が必要になった。

 退院の4日後、T大学病院から呼び出しがかかり、食道狭窄の原因は過去の食道ガンが進行しているのと、もうひとつは食道動脈瘤にあるようだ、という。 O御大の指示で、2019(令和元)年7月29日入院し、翌日O先生執刀の食道動脈瘤手術を受けた。 一週間後、二度目の内視鏡手術を受け、その二週間後、一週間の自宅静養を入れて、茶碗一杯の五分粥でさえ満足に食べることができないまま、再び病院に戻った。

 造影剤CT検査の結果、食道ガンが進行して、30センチ程もある、食道動脈瘤の手術が終わったあと、放射線治療を考えてみましょう、といわれていたので、未来の展望がなく、明るい気分にはとてもなれなかった。 五週間で四回の手術を受け、71歳の高橋三千綱さんは、さすがにこたえ、8月31日に退院した。 帰途、蕎麦屋に寄って、温かい蕎麦を食べ出した。 そっと数本ずつ口に運び、粉になるまで咀嚼して飲みこんだ。 これはいける、うまいと思ってわずかだが咀嚼が完全でないうちに飲みこんだらしい。 とたんにむせた。 苦しくて涙が出た。 何も変わっていないと絶望した。

 至急、近藤誠先生と連絡をとって放射線治療について相談してみることにした。