前川喜平元文科事務次官の談話2020/11/28 07:00

 新聞で、日本学術会議の会員候補6名の任命除外問題をいろいろ読んでいて、もっとも印象に残ったのが、前川喜平元文部科学事務次官の談話記事だった。(10月19日朝日新聞朝刊・聞き手=氏岡真弓編集委員) こんなことを率直に語る元官僚がいて、しかも文科事務次官にまで出世しているのが、不思議な感じがする。

 「そこまでやるか、そこまで来たか。6人の任命が拒否されたと聞いたとき、そう感じた。」「内閣法制局、日本銀行など、本来は政治権力から独立しているはずの組織の人事に首相官邸の影響が広がってきた。それがついに、科学者の集まりである、日本学術会議にまで及んだ。学術会議は科学者が政府にものをいう機関だが、その人事に官邸が口を出す。憲法のうたう「学問の自由」を侵害する行為で違法だ。」

 「学術会議は、学問が二度と戦争に動員されないようにするために1949年に生まれた。日本学術会議法には、会員の任命は学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とある。「基づいて」とは推薦通りにということで、任命行為は形式的なものであることを意味する。」

 「「大学は軍事研究に加担しない」という態度を守ってきた学術会議は、目の上のたんこぶだったと思う。」「そこで考えたのが人事ではないか。軍事研究に批判的な人々を任命から外すことを繰り返せば、だんだん骨抜きにできる。」

 「京都大学法学部の滝川幸辰教授が旧文部省に無期限の休職処分を受けた「滝川事件」が起きた1930年代のように、学問が弾圧される時代が近づいてきていると感じる。それを見抜いて是正するのが国民だ。」

 前川喜平さんについては、「永青文庫」に行って、2018年5月18日「肥後細川庭園」(旧「新江戸川公園」)で、こう書いていた。 「細川護立が建設した細川家の本邸は現在、「永青文庫」の目白通り寄りにある和敬塾本館になっているそうだ(不定期に一般公開するらしい)。 和敬塾は、産業用冷凍機メーカー、前川製作所の創業者・前川喜作(1895~1986)によって創立された学生寮である。 余談だが、文部科学省の事務次官を務め、加計学園の問題で「行政がゆがめられた」と述べた前川喜平さんは、前川喜作の孫である。」