慶應義塾大学病院で手術を受ける2020/12/24 07:08

 9月22日(火)、慶應義塾大学病院第一外科の若いM先生が問診、木内医院と同じ検査をして、「ボクの意見としたら、まだ危険はないけれど、早いに越したことはないんで、やった方がいいんじゃないですか」、即手術が決まる。

 別館中央3階303号室に入院、浴衣を着てベッドに横になっていると、看護婦さんが剃刀とお湯を持ってきて、下腹の毛を剃る。 刷毛で石鹸を腹にペタペタ塗って、ジョリジョリと剃る。

 寝台車に乗せられて、手術室の前へ、父母と担当の看護婦さんとしばらく雑談していたが、三角巾で目隠しされると、さすがに興奮して、すっかり上がってしまう。 お医者さんに、「注射でノビタことあるかい?」と聞かれて、「余りないです」などと答える。 足を抱えるエビ型になって、腰椎麻酔の注射、足がビリビリして、感じが無くなる。 足の指を動かそうとしていると、もう手術が始まったという。 手術をしている先生たちの話声や、周りで作業している看護婦さんの声、メスやピンセットのガチャガチャする音が、ちゃんと聞こえる。 右手の上腕で血圧を測っている感じ、皮膚をバリバリ剥がす音、開かれた腹の皮を押さえている感じが、みな分かるのだ。 痛くはない。 看護婦さんに二三度尋ねられたが、気分も悪くはならなかった。 手術は短い時間で終わった。

 手術室の前には、心配そうな父母の顔があった。 時計は午後9時を指していた。 その夜は、あまり眠れなかった。 麻酔が切れると、痛みとも、つっぱりともいえないような重圧感が腹にあって、寝返りが打てないようようだった。 口の中の苦さから、時々気持悪くなるので、早く朝になれ、朝になれ、と窓の外が明るくなったのを待った。