盲腸の手術が、減っている ― 2021/01/09 07:07
12月の22日~24日、高校3年生の時に盲腸炎の手術をしたことを書いたら、メールを二つ頂いた。
私の翌年9月に高校3年生で、盲腸炎の手術をした人は、学校をサボって60年安保の国会デモに行っていた疲れが出たのかもしれないので、いい休養になった、見舞いに来てほしいと願っていた人が、来てくれたのを懐かしく思い出す、と。
大学のクラブ以来の友人は、大学2年生の夏、慢性で長い間抗生物質の注射で抑えていたが手術、クラブの仲間が笑わせるために来てくれた、と。 お茶の水と水道橋の間にあった堀内胃腸病院には、私も見舞いに行き、安岡章太郎の『アメリカ感情旅行』という岩波新書を持って行った記憶があった。 病院の裏が公園で、毎晩アベックが数組来て、病室の窓から見られているとも知らずに仲良く抱き合っていたのが、術後の痛みはあるとはいえ、かなりの刺激だったという。
朝日新聞の「ののちゃんのDO科学」に、「盲腸の手術って、減っているの?」という質問があった。(12月19日) 本来の盲腸は、小腸と大腸のつなぎ目にあたる腸のこと。 おなかが痛いときに言う「盲腸」は、盲腸からぶら下がっている「虫垂」が炎症を起こした「急性虫垂炎」のこと。 虫垂は太さが5ミリぐらいで、長さは5~8センチほど。 その中で菌が繁殖して炎症が起きると、おなかが痛くなる。 食べた物を押し出す腸の動きによって、虫垂の中に菌が入ってしまう。 虫垂の先端は行き止まりになっているから、「ふん石」や異物が詰まると出口が狭まって炎症が起きる。
30年ぐらい前までは、「盲腸」とわかれば手術で虫垂をとるのが普通だった。 でも、超音波などの検査の精度が良くなって、おなかを切らなくても病気の進行度がわかるようになった。 だいたい全体の3分の1ぐらいは、腫れが小さい「カタル性」と呼ばれるタイプで、手術をせず抗菌薬だけで治る。 入院すら必要ない場合もある。
国内で手術がどれだけ減ったかというデータはないけれど、減っているのは確かだ。 英国では1990年から97年の間に、男子で15%、女子で20%も手術が減った。 米国でも2000年から06年で10%減っている。 国内の手術は、全体的に男子が多くて、なかでも圧倒的に多いのが10歳から14歳。 毎年1万人あたり13人ほど手術を受けている。
でも、おなかが痛いのにそのままにしておくと、進行して虫垂に穴があいてうみがもれ、腹膜炎を起こすこともあるから、早めに医療機関を受診したほうがいい。 昔は手術で3センチぐらいの傷がおなかについたけど、今は腹腔鏡を使った手術で2カ所の5ミリほどの穴で済むから傷が目立たない。
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