柳家小三治の「野ざらし」2021/03/16 06:54

これは2005年3月31日に、第441回TBS落語研究会のトリで聴いたものだ。

     馬の皮、小三治「野ざらし」<小人閑居日記 2005.4.4.>

 お目当ての小三治「野ざらし」。 まくらは趣味の話。 昔は道楽と言った。 道楽というと「めんぼくない」、それが趣味人というと来年あたり文化勲章をもらいそう。 焼け跡の野球少年だから、ふだんサッカーは見ないのだけれど、外国とやると熱が入る。 最近はボールの色がいろいろだし、ボールのガラ、何種類あるんですかね。 材質は皮なんでしょう。 高校の時、体育で使ったのは、イボイボのゴムだった。 野球に「飛ぶボール」と「飛ばないボール」があるのは、知りませんでした。 あれは値段ですかね。 飛ぶほうが高い。 広島は、飛ばないボール。 巨人、ダイエーは飛ぶボール、とか。 野球のボール、昔は馬の皮だといっていたけど、今も馬の皮なのかな、急に思いついたんで、わかりません。 調べてくればよかったんですが…。 寄席の太鼓は馬の皮、三味線は猫の皮、ほかのものじゃあダメ。 道楽は、道具に結びついている。 釣も道具に凝る。 別に食い物に困って行くわけじゃあない。 あたしはあまり釣はやらない。 ハチミツと塩でとまっている。

 釣の話から、「野ざらし」に入った。 隣の浪人者のところに十六、八の美人が来た訳を聞いた八公、「月浮かむ水も手向の隅田川」というマヌケじゃなくて手向の句も教わり、向島に釣に行く。 釣人たちを迷惑がらせる一騒ぎがあって、美人の骨(こつ)を求め芦の茂みを探す。 見つけた累々とした骸骨に万遍なく酒をかけ、「今夜来ておくれ、浅草門跡様のうしろの長屋、腰障子に○八と書いてあるから」と言ったのを、そばの屋形船にいた幇間(たいこもち)に聞かれる。 その夜、美人じゃなくて、男が来たので、「お前は何だ」「私はタイコです」、「しまった、馬の骨だったのか」。

次第に調子に乗ってきて、歌を歌うところなど、じつに楽しそうに演り、とてもよい出来だった