オリンピック開会式と閉会式の「鎮魂の舞」2021/08/15 08:10

 オリンピック東京2020の開会式と閉会式で、東日本大震災からの「復興五輪」という理念との関係もあったのか、さまざまな理由で亡くなった人を追悼する時間があった。 「復興五輪」とは、被災地と連携する取り組みで、被災地を後押しし、被災地の復興した姿を全世界に発信するものだといわれる。 開会式では鎮魂の舞を、大河ドラマ『いだてん』で古今亭志ん生を演じた森山未來が舞った。 この人、こういうダンスもするとは知らなかった。 踊りの中で、神憑り(がかり)的に、死んで、生き返るような動きがあった。 閉会式では、佐藤健作の和太鼓演奏(1998年のサッカーW杯フランス大会の閉会式でも演奏したそうだ)で場面が転換し、ダンサーのアオイヤマダが樹木をイメージしたという(神前に供する玉串・注連縄などに下げる紙垂のようにも見える)衣装で、これも神憑りの「いたこ」の巫女を思わせる鎮魂の舞を舞った。

 8月5日の読売新聞のコラム(祐成秀樹編集委員)で知ったのだが、森山未來は6~7月、横浜のKAAT神奈川芸術劇場などで上演された、存在が忘却されたことを霊的な存在が思い出す「夢幻能」の形式の、音楽劇『未練の幽霊と怪物』(岡田利規作・演出)「挫波(ザハ)」「敦賀」の二本立で、ザハの亡霊を舞ったのだそうだ。 「挫波」は、ザハ・ハディドをシテに描き、「敦賀」は廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」を扱った演目。 ザハ・ハディドは、当初の国立競技場のデザインをした人で、2016年に心臓発作で亡くなった。 どちらも、日本の政府レベルの意思決定の問題点を痛烈に風刺したものだ。

祐成秀樹さんは、開会式の森山未來の舞に、ザハ・ハディドと、開会式直前に解任された演出担当者などの、無念の思いを表したのかと錯覚したという。 国立競技場を上から見た映像が、ザハ・ハディドの案をゼロにした、ゼロに見えたとも書いている。

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