伊藤公平塾長の2022年頭挨拶 ― 2022/01/26 07:08
ずっと「1941日本はなぜ開戦したのか」と、『倫敦ノ山本五十六』堀悌吉に関わり合っていて遅くなったが、1月10日は第187回の福澤先生誕生記念会が開催され、今年もリモートで見ることになった。 幼稚舎生は舞台に並んで「福沢諭吉ここにあり」を歌ったが、ワグネルソサィエティー男性合唱団の「日本の誇」(一番のみ)はキャンパスの画像をバックに音声が流れた。
伊藤公平塾長の年頭挨拶。 45年前のこの会で、幼稚舎生として「福沢諭吉ここにあり」を歌ったが、練習で歌詞をかみしめて、将来英語を勉強し、世界に出ようと思った。 リモートの授業、オンラインの技術も向上したけれど、やはりリアルが大切で、4月から9割の授業を対面で行なう予定だ。 学生時代、1年生の伊藤ユウジ(? いずれ『三田評論』で判るだろう)先生の数学、黒板に数式をどんどん書きX×0=0の証明などを美しくやって見せ、仲間の多くが数学専攻になった。 一般教養、高木(?)先生の地理で、地形の不思議に興味を持ち、他の科目は放っておいて、港区の坂を期末レポートにまとめた。 統計力学の久保亮五先生、迫力があった世界の物理学者。
授業は、やはりライブなんだ。 福沢先生は、スピーチを演説と訳し、広めた。 読むだけではわからない、会場の空気。 柳家小三治は、亡くなる直前までライブをやっていたが、会場が一体になる、独特の間合いに、笑って、感動の渦になる。 俺、生きてるだけなんだ、と言っていたが、教員も教壇に立ち続けて、生きてるだけなんだ、と言ってみたい。 学びの場は、生涯の友となる場だ。
『学問のすゝめ』に「交際いよいよ広ければ、戦争起らず」とある。(どこかと探したら、九編の半ば「○開闢の初には人智未だ開けず。」の中に、「人智愈(いよいよ)開れば交際愈広く、交際愈広ければ愈和(やわ)らぎ、万国公法の説に権を得て、戦争を起すこと軽率ならず、経済の議論盛にして政治商売の風を一変し、学校の制度、著書の体裁、政府の商議、議院の政談、愈改れば愈高く、その至る所の極を期すべからず。」とあった。) ドローンの戦争は危険、ネットの誹謗中傷も問題。 学校は生身の学生の、人と人との教育が大切。 4月1日の入学式で、ワグネルソサィエティー・オーケストラのマイスタージンガー序曲の生演奏が聴けることを願っている。
この後の、今年の目標、慶應義塾におけるイントラプレナーとして全力を尽くすこと、については慶應義塾ホームページの「塾長室だより №4」に詳しい。 私たち慶應義塾の人は、イントラプレナーとして義塾を前進させ、そのうえで慶應義塾と自分自身を社会のインタープレナー(伊藤さんの造語。組織同士をつないで社会全体を変革して行く人)と位置付け、全社会の発展に寄与する必要があると言う。 福沢先生は『学問のすゝめ』十編の冒頭で「人間(じんかん)交際の仲間に入り、その仲間たる身分をもって世のため勉むるところなかるべからず」、社会の先導者として世の発展に努めよといっている。
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