八十歳の好奇心、ますます知らないことばかり2022/03/08 07:08

 年賀状の添え書きの多くに、「ほんまに、八十歳になって初めてのこと、ぎょうさんありまっせ。岡部伊都子(いつこ)」と書いた。 鷲田清一さんの「折々のことば」1707 2020.1.23. を、80歳になった私の実感でもあったので使わせてもらった。 鷲田清一さんは、岡部伊都子さんを説明して、「婚約者に「この戦争は間違っている」と告げられたのに、日の丸の小旗を振って送り出し、彼は戦地ではかなく散った。若き日のその痛恨事を原点に、随筆家は戦争や沖縄、差別や環境について、「言わんならんことは言わんならん」と語り続けた。「私は、子無し。私が赤ちゃんなんですから」と小児科医に相談し、老いても日々「刻々の誕生や」と。自伝『遺言のつもり』から。」と書いた。

 初めは年賀状に、「八十、好奇心。ますます知らないことがあるのを、知る。」と、添え書きしようと思ったが、やはり関西弁のインパクトを採って、岡部伊都子さんにしたのだった。 鷲田清一さんの「折々のことば」2236 2021.12.18. に、「不知爲不知、是知也、」があった。 「知らざるを知らずと為(な)せ。是れ知るなり」。 孔子『論語』(金谷治訳注)巻第一・爲政(いせい)第二から。 鷲田清一さんは、「自分はこういう世界、このような問題のあることをこれまでずっと知らなかったのかと、愕然とすることがある。「知らないことは知らないこととする、それが知るということだ」。限界や輪郭を知ってはじめて人はおのれの知のありようを知る。謙虚という徳が知恵の裏張りをなす。」と。