山田洋次さんの『続・遥かなる山の呼び声』2022/10/18 06:53

 山田洋次監督の映画『遥かなる山の呼び声』(1980年)は高倉健と倍賞千恵子の主演、山田監督自身が2018年に時代を現代に置き換えてリメークしたテレビドラマは阿部寛と常盤貴子だった。 それから4年、山田監督がやはり阿部寛と常盤貴子で、その続編を書き下ろしたドラマ『続・遥かなる山の呼び声』をBSプレミアムで見た。 原作・山田洋次、脚本・山田洋次、石川勝己、演出・朝原雄三、音楽・沢田完。

 5年の服役を終えて出所した森山耕作(阿部寛)を、妹の加奈(真飛 聖)が迎えに来ていた。 耕作は札幌の加奈のアパートに身を寄せ、加奈の勤める会社で交通誘導の警備員の仕事に就く(「刑期終了後5年間警備員になることは法律で制限されています」、というテロップが流れた)。

 一方、中標津の風見(かざみ)牧場では、風見民子(常盤貴子)が女手一つで、亡き夫が理想とした、牛たちを暗い牧舎から解放して、のびのび放牧し、大地に生えた牧草を食べさせた上で、健康で美味しいミルクを消費者に届ける酪農に、頑なにこだわって50頭もの乳牛の世話を続けている。 中学生になった息子・武志(佐藤優太郎)は、耕作の逮捕を見て以来、内向的になって変調を抱え、これも夫の夢で無理をして買ったピアノにばかり打ち込んで、母の仕事を手伝わないのを、周囲の酪農家などはいぶかっている。 その武志のピアノの才能を高く評価している、中学の音楽教師・西川浩介(藤井隆)は熱心に風見家に足を運んで武志を個人指導しているが、どうも民子に気があるようだ。 民子の叔母の鈴江(高畑淳子)と、これも民子に思いを寄せる虻田興業の虻田(筧 利夫)(妻がいるのだが、夕張メロンなど持って来る。以前、耕作と決闘してこてんぱんに負けたらしく、「兄貴」と呼ぶ)は、民子の牧場経営が赤字続きなのを心配して、牧場を売却し、武志の都会での音楽学校進学の道を提案するが、民子は断固拒絶、この自然環境の中でこそ、武志とそのピアノは育つのだと言い張る。

 (2018年のドラマ前編を見ていないので、映画のあらすじをみておく。 春の嵐の日、ある男が牧場を突然訪れ、泊めてくれと懇願、民子(倍賞千恵子)は物置小屋に泊まらせる。深夜の牛の出産を手伝った翌朝、その男・田島(高倉健)は、礼を言い立ち去る時、息子の武志(吉岡秀隆)から父親を亡くしたことを聞く。夏、再び田島が牧場を訪れ、農作業員として雇うよう懇願、民子はしぶしぶ雇う。民子は武志が田島に懐き、その実直な性格を見るうちに、だんだんと好意を寄せるようになる。田島は民子にちょっかいを出した虻田(ハナ肇)三兄弟と決闘して難なくやつける。田島は草競馬に出て優勝するのだが、身辺に警察の捜査が迫ってきていた。民子らのもとを去る決意をして、別れを告げ、隠し通してきた過去を告白する。2年前、妻が高利貸から借金していて、返済を迫られて自殺、通夜の席で高利貸に「事故死なら保険金が下りたのに」と言われて、衝動的に殴り殺す罪を犯していた。その夜、稼ぎ頭の牛が急病になり、民子は田島に「行かないで、私寂しい」とすがりついてしまう。明け方までには獣医(畑正憲)の手術も無事に終わったけれど、牧場にはパトカーがやってきた。武志は「おじちゃん!どこ行くの?」と、パトカーを追いかけた。)

 人には言えない悲しい過去を背負った耕作と、女手一つで息子を育てながら酪農に情熱を注ぐ民子、互いに強く引かれ合いながらも、一歩を踏み出せない二人に、山田洋次監督はこの続編で、どのような展開と結末を用意したのだろうか。

コメント

_ 清宮政宏 ― 2022/10/20 07:23

山田洋次監督、高倉健、倍賞千恵子、渥美清、出演の映画は、何度見てもいいですね。リメイクされても、その趣や深みは全く変わらず、新しい演出には新鮮さを感じたりもします。

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