続・藤井裕久さんの遺言 ― 2022/10/30 07:34
8月8日に発信した等々力短信、元財務相 藤井裕久さんの遺言<等々力短信 第1158号 2022(令和4).8.25.>で取り上げた藤井裕久さんについて、最近、朝日新聞に二つ、記事が出た。
10月15日の「惜別」は、やはり駒野剛記者。 「むちゃな財政」を斬る根底には、という見出し。 短信に書いたインタビューは、90歳の誕生日を3日後に控えた今年6月だったが、その時もビルの3階にある個人事務所に自分で階段を上り下りして通うほどお元気だったという。 その10日後、帰らぬ人となった。
国の巨額な予備費は、国会審議をないがしろにしている悪だ、という意見の根っこには、少年時代の戦争体験があった。 東京大空襲の直後に疎開先から帰宅し、自宅近くの湯島の坂に、たくさんの焼死者の遺体が横たわっているのを目撃した。 もう二度とあんなことをしてはいけない。 財政が乱脈だったから、軍の横暴と戦争を招いた。 そのインタビューで繰り返していたのは大蔵省の大先輩、大平正芳元首相の言葉だった。 蔵相として10年ぶりの赤字国債発行に追い込まれた大平は、よく一緒に乗った自動車の中で「死ぬほど苦しいんだよ」と打ち明けていたという。
2017年4月にも、膨らむ国の借金財政をどうしたらいいか、インタビューした。 こう、立て板に水で答えた。 「憲法を改正して、これ以上借金を増やさない目標を付け加えるべきです。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の達成を義務付けた条項の新設です。収支が均衡しているか、黒字化するかを憲法で義務付けるのです」
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