春風亭小朝の「殿中でござる」2022/11/25 07:11

「さようなら、初代 国立劇場」にガッカリ<小人閑居日記 2022.9.5.>に書いた、落語がないじゃないか、と文句を言おうとしたら、11月の歌舞伎公演は〝歌舞伎&落語コラボ忠臣蔵〟だという、その昼の部のチケットを国立劇場に知り合いのいる友人に頼んでおいて、その友人と一緒に21日に観た。 春風亭小朝の落語「殿中でござる」、国立劇場太神楽養成1期生と3期生という翁家(おきなや)社中和助と小花の「太神楽」を挟んで、小朝の落語「中村仲蔵」、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」五段目・六段目だった。

 小朝の「殿中でござる」。 大劇場舞台中央に台をつくって、その上に高座を設える。 そこだけ明るくして、三遊亭兼好の怪談のように場内を暗くしたので、メモは鉛筆と紙のブラインドタッチとなった。 今年はエリザベス女王が亡くなって、その前、参議院選直前の7月5日に……、私はSNSのニュースで知って驚いたんですが……、滝沢カレンが結婚した、と小朝らしく始めた。 今年は、落語界も、小三治、上方の仁鶴、円楽が亡くなり、「お笑い三人組」の小金馬、四代目金馬の金翁さんが93歳で亡くなった。 家族も驚いたんだけれど、ケンタッキー・フライド・チキンをタラフク食べて、亡くなった。 噺家だけに、トリにこだわった。

 オリンピックの金メダリストの報奨金、日本は500万円だそうだけれど、インドは4000万円に、家一軒、牛が五頭だそうで。 食べるんですか、と聞いたら、カウ。 こうやって、お客さんのレベルを調べている。 今日は、いいようだ。

 以前は、暮になると、どこでも第九と忠臣蔵をやっていた。 最近は忠臣蔵をやらない。 若い人には、忠臣蔵を読めない人もいる。 仇討ちはテロじゃないか、と忖度する。 玉三郎や仁左衛門、松田聖子や坂本冬美、どさ回りの芝居とショーは、そんな有名どころは来なくて、増田聖子や坂本冬花、おぼん・こぼん、なんてのが来る。

 幕府の年賀に対する答礼のための勅使接待役の浅野内匠頭、吉良上野介とは先生と生徒の関係で、上野介は、教えることは、教えてやる、付け届けさえすれば、という姿勢。 金のためなら何でもする、バッハ会長と同じ。 だが内匠頭は家来の言うことを聞かない上に、ケチ。 1400両の費用を700両でやれと家臣にいう。 一応準備の整った伝奏屋敷(迎賓館)に、上野介が出向いて来たが、内匠頭が来ない。 後れてきた内匠頭に、畳の縁が繧繝縁(うんげんべり)でなければ、殿上人には駄目だ、柄が違う、畳を全部替えろと指示した。 家臣が京都に手配して、何とか間に合わせた。

 元禄14年3月14日の当日、殿中松の廊下、内匠頭が一つ忘れたことがあり、上野介に教えてくれと頼むが、教えない。 内匠頭が殿中差に手をかけると、上野介はここがどこか知っていよう、抜けば改易、お家断絶、家臣も路頭に迷う、それでもわしを斬るか、と。 しかし、内匠頭は刃傷に及ぶ。

 吉良は屋敷替えになった。 お城近くの呉服橋から、本所へ。 本所といえば、遠い郊外…、今は東京のビバリーヒルズだけれど。 討ち入りせよというばかり。 命じたのは、誰か。 江戸の町民は、討ち入り期待で、沸きに沸く。

 討ち入り、炭小屋に隠れた吉良を見つけ、大石内蔵助は額の傷で確認、お覚悟を、斬れ!

 吉良上野介と浅野内匠頭、どっちが悪いか。 吉良上野介は、浅野内匠頭に金さえ出せば、何でも教えると言い、松の廊下でも、抜けば改易、お家断絶、家臣も路頭に迷う、と言った。 内匠頭が悪いと思う方は、手元のボタンを押して下さい。

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