「冬の月」と「顔見世」の句会2022/12/15 07:07

 12月8日は『夏潮』渋谷句会、会場がいつもの部屋より狭い会議室だった。
兼題は「冬の月」と「顔見世」、私はつぎの七句を出した。

  そそり立つメタセコイアに月の冴ゆ
  真つすぐに落葉松林冬の月
  冬の月ルオーの街を照らしをり
  ケータイに友の訃報や冬の月
  顔見世へエスカレーター長く寒
  顔見世の跳ねて身に沁む寒さかな
  顔見世の看板上げる鳶きりり

 私が選句したのは、つぎの七句。
  冬の月に透きとほりゆく心地かな   さえ
  アルプスを見下ろす冬の月小さ    真智子
  甲板にひとり残りて冬の月       礼子
  顔見世へおニューの帯をおろしたり  美保
  顔見世の果てて空より白きもの    裕子
  顔見世のまねき見あぐる脚絆僧    盛夫
  顔見世や舞妓芸妓の桟敷席      伸子

 私の結果。 <そそり立つメタセコイアに月の冴ゆ>を英主宰、<真つすぐに落葉松林冬の月>を孝治さん、<冬の月ルオーの街を照らしをり>を伸子さん、照男さん、美保さん、<ケータイに友の訃報や冬の月>を盛夫さん、孝治さんが採ってくれた。 主宰選1句、互選6票で、計7票、まずまずの成績だった。 <そそり立つメタセコイアに月の冴ゆ>の主宰選評は、素直な句、それでいい、ふつうの木の枝ぶりとは違う、西洋風のエキゾチックな樹形、広い場所の句。 <冬の月ルオーの街を照らしをり>を採ってくれた照男さん、たまたま隣りの席だったので、ルオーが大好きだということがわかった。 私もルオー好きだが、お宅に三点も絵を架け、海外の美術館を10館も巡っていらっしゃる由、レベルがまるで違った。

 主宰総評。 「顔見世」という季題は、梨園に詳しいマニアの人が、あんまり蘊蓄を傾けると、興が醒める。 一方、初心らしく説明しちゃうと、藤田湘子のいう「歳時記の解説じゃ困る」となる。 ともかく、経験。 「顔見世」についての、関東の者と、京の人のニュアンスは違う。