句集『妻』、地名、山名、線名の俳句2023/03/21 07:08

 「等々力短信」1165号に書いた名和未知男さんの第五句集『妻』だが、書き洩らした出版社は(文學の森)だった。

 スペースがなくて、挙げられなかった地名や山の名、鉄道の線名の俳句、「奥醍醐、荒砥、小縣郡(ちいさがたぐん)、塩田平、横川、阿騎野、白神、飛島、尾鈴嶺、八海山、安達太良山、弥彦山、恵那山、木次(きすき)線、三江線、只見線」は次の通り。 下段()内は、私の註。

奥醍醐へは得行かずけふの雪催
荒砥てふ終着小駅雪もよひ
 (山形県西置賜郡白鷹町、山形鉄道フラワー長井線終点)
小縣郡(ちいさがたぐん)にゐて春陰のつばくらめ
 (長野県北東部にある郡。もと現在の上田市をふくんだ。)
塩田平に良き寺のあり遅桜
 (「信州の鎌倉」、上田市、別所温泉など)
横川までの一里を閉ざす夏の霧
人麻呂の月と思ひぬ阿騎野ゆき
 (奈良県宇陀市)
白神はカムイの地なり熊潜む
飛島に生まれかなかな朝を鳴く
 (山形県酒田市沖合の小島)

   松尾田春一氏を悼む
尾鈴嶺に梅雨雲かかる別れかな
 (宮崎県尾鈴山か)
八海山見え家々の懸大根
安達太良山に雲なき朝や鷹一羽
弥彦山まで遮るもののなき青田
恵那山の雲にまぎるる夏つばめ

急勾配蝶に抜かるる木次(きすき)線
 (島根県松江市宍道駅-広島県庄原市備後落合駅)
三江線廃線の日の花すみれ
 (広島県三次市三次駅-島根県江津市江津駅、2018年廃線)
少年一人下車朝寒の只見線
 (上越線小出と磐越西線会津若松とを結ぶ)