五代友厚、官有物払い下げと「無関係」2023/05/03 08:03

 4月5日の朝ドラ『らんまん』に、ディーン・フジオカが坂本龍馬になって登場したので、私はこうツィートした(@goteikb1)。 「五代から龍馬になりて春らんまん。朝ドラ『らんまん』。朝井まかてさんが牧野富太郎を描いた『ボタニカ』を読んで、昨年2月4日~18日ブログ<轟亭の小人閑居日記>に書きました。龍馬は出て来ませんでした。」 ディーン・フジオカは、2015年12月21日からの朝ドラ『あさが来た』で五代友厚を演じて、大ブレークし、物語から消えた時は「五代ロス」と騒がれたのだった。 なおディーン・フジオカは、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』でも、五代友厚を演じていた。

 「五代友厚 濡れ衣だった「汚点」/官有物払い下げ「無関係」教科書修正」という朝日新聞4月12日朝刊の見出しには、びっくりした。 私は、五代友厚がきっかけ、「明治14年の政変」<小人閑居日記 2015.12.28.>でこう書いていたからである。

「明治14年、北海道開拓使の官有物を五代の関西貿易商会に非常な廉価で払い下げる計画が発覚、五代と開拓使長官の黒田清隆が共に薩摩出身であったため問題化し、憲法制定と国会開設に関する路線選択と主導権をめぐる明治政府内部の対立[イギリス流の議院内閣制による国会を早期に開設すべしとする参議大隈重信と、プロイセン流の帝王大権優位の国会を漸進的に開設すべしとする伊藤博文らとの対立]とも結びついて、大隈重信や民間の諸新聞、民権派運動家らによる薩長藩閥政府批判、国会開設請願運動が沸き起こった。 追い詰められた政府の危機的状況の下で、伊藤博文・井上馨・岩倉具視・井上毅・黒田清隆ら薩長藩閥を中心とした勢力は、一種のクーデターを起こす。 明治14年10月12日、明治天皇の東北・北海道巡幸から帰還の日に、プロイセン流の欽定憲法路線の選択を意味する明治23年国会開設の勅諭の発布、ならびに筆頭参議大隈重信の罷免と官有物払い下げを中止の発表をするのだ。 これが「明治14年の政変」である。 同時に、大隈の与党と目された河野敏鎌・前島密・小野梓らに加え、福沢諭吉の慶應義塾系の少壮官僚、矢野文雄・中上川彦次郎・犬養毅・尾崎行雄・牛場卓蔵・森下岩楠らも、官界から追放された。 一方、五代もこの事件で「政商」として世論の非難を浴びた。」

 そこで、朝日新聞の記事である。 長年、五代友厚は、北海道開拓使の官有物払い下げ事件に関わったとされ、歴史教科書にもそう記されてきたが、最近の研究で無関係だったという可能性が高まり、この春から教科書の記述が書き換えられたというのだ。 住友史料館(京都市)の末岡照啓(てるあき)さんや『新・五代友厚伝』を著した八木孝昌さんの研究で、五代の汚点とされるこの事件が濡れ衣だったことがわかってきたのだそうだ。 政府が官有物の払い下げを決めた書類や、太政大臣だった三条実美あての「伺(うかがい)」に五代の名前は一切なく、政治家・佐々木高行の日記には黒田から聞いた話として、五代に払い下げを打診したが「採算が合わない」と断られた、と書かれていたという。

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