古今亭昇也の「庭蟹」 ― 2023/05/11 07:02
昇也は眼鏡をかけている。 洒落が通じない、浅草演芸ホールで、ある師匠が「宗論」をやっていた。 すると、60代半ばの男が怒り出した。 ホールに緊張感が走る。 頭のおかしい人で、倅のキリスト教を馬鹿にしている噺なのか、と。 間髪を入れずに、「イエス」。 大爆笑になった。 師匠は、お客さんはキリスト教の方ですか、と掘り下げた。 「ほっとけ!」
可内(べくない)、今晩はタケノコにしよう。 到来物ですか、八百屋でお買い求めですか。 隣のタケノコが、当家の庭に出てきたので、折り取ると断りを入れて参れ。 不埒なタケノコ、召し捕って、手討ちにいたすとな。 儂は鰹節で出汁を用意しておく。 (隣の旦那)遺骸は、こちらにお手渡し頂く、鰹の出汁もろとも、ともな。 可内、苦しゅうない、もう一度行って参れ、これは形見だと、皮をばらまけ。 アーーア、皮イヤ。
洒落、お分かりですか。 発信機が優秀でも、受信機がよくないと(ニヤリ)。 お誕生日、電車じゃなく行こう。 バースデイ。
番頭さん、あんたは洒落が上手いと、伊勢屋の旦那が褒めていた。 私は洒落がわからない、面白いものだそうだな。 仕事のことだけやってきて、いい歳になった人生だ。 洒落というものを身に付けたい。 人間わずか50年、洒落を教えてくれないか。
酒を飲むと、言葉になってワッと出るようなもので…。 題を頂戴して、やってみましょう。 頂戴か。 貞吉が物置で、踏み台に乗って、卓袱台を探してます。 目に入るもの、何でもいいんです。 衝立。 ツイタチ、二日、三日。 それがどうした? 来年の正月まで待っているのか、今日中にやってくれないか。 インゲン豆。 インゲン豆、貞吉、いくらだった? 50円。 インゲンわずか50円。 商人(あきんど)が、わずかなんてことを言っちゃいけない。 洒落はどうした。 女中のお玉の下駄を、権助が隠した。 こりゃあ、おったまげた。
題を、お願いします。 孫が蟹を買ってきた。 その蟹が庭から這い出した、というのはどうだ? にわかには、洒落ができない。 (貞吉が)番頭さん、頑張れ、ゆっくり、落ち着いて、題も変えて。 請求書。 性急には、洒落はできません。 それがどうした? 主人のあたしがこれほど頼んでいるのに、洒落られないとは、なんだ!
そこで笑っているのは、貞吉か。 番頭さんは、ちゃんと洒落てます、お互いに似ているのが洒落です。 だとすると、私と倅は、洒落かい。 似ていなかったら、洒落にならない。
また、番頭を呼べ。 さっきはすまなかった、水に流して、もういっぺん、洒落を教えてくれ。 すぐには洒落は出ません。 ヤー、番頭さん、上手い洒落だ。
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