「卯波」の鈴木真砂女さん、訃報の切り抜き2023/06/17 07:13

 「卯波」の鈴木真砂女だが、愛用の『合本 俳句歳時記 第三版』(角川書店)に、亡くなった時の新聞の切り抜きが挟んであるのが、黄色くなって出て来た。 平成15(2003)年3月15日朝日新聞朝刊。 見出しは「鈴木真砂女さん死去」「96歳 波乱の恋、俳句に託す」。 記事は、以下の通り。

 銀座の路地裏に小料理屋を開きながら、日々の営みや波乱の人生を天真らんまんに詠み続けた俳人の鈴木真砂女(すずき・まさじょ、本名まさ)さんが、14日午後6時34分、全身衰弱のため東京都内の老人保健施設で死去した。96歳だった。通夜、葬儀の日程は未定。喪主は長女の女優本山可久子さん。連絡先は中央区銀座1の5の14の料理屋・卯波(うなみ)。

 千葉県鴨川市生まれ。最初の夫は失踪。実家の旅館を継いだ姉の急死でその夫と再婚する。しかし50歳で離別して上京、銀座に店を開き、90歳まで切り盛りした。その人生は、丹羽文雄氏の小説「天衣無縫」や瀬戸内寂聴氏の「いよよ華やぐ」のモデルになった。

 俳句は47年から結社「春燈」により、久保田万太郎や安住敦に師事した。句集「夕螢」(76年)で俳人協会賞。99年には「紫木蓮」により、史上最高齢で蛇笏賞。

 よく知られた句に「白桃に人刺すごとく刃を入れて」などがある。恋や女の情感があふれる作品が多い一方で、「初旅を戻りて米をとぎにけり」などと、生きる姿勢も包まず見せた。

 また、海を詠んだ佳品が多く、「銀座にいても海の句ならいくらでも詠める。体の中に海があるのよ」と語っていた。

(次の見出し)「恋の情念とせつなさ 詠み続け」以下は、また明日。