310週1239日の『にっぽん縦断こころ旅』 ― 2024/12/02 07:01
「蔵出しスペシャル」を見て、火野正平さんに会った人々や、食事をした店の方々は、火野正平さんが亡くなって、どんな思いをしているのだろうか、番組を見ているわれわれよりも、深い感慨があるのだろう、と思った。 この番組を見始めた頃に書いたのがあって、正平さんは69歳だった。 それから5年半、出発地が山や丘の上など、少し高い所が多くなって、まさに『人生下り坂最高!』となった。 腰痛もあったのだろう、近年は息切れや愚痴も多くなったような気がする。 今年の春編が始まった時、自転車がチャリオ君から、電動アシスト付きの「チャリ丸」に変更されていたが、その期間は、ごくわずかだったことになる。 ピンチランナーの山口智充さんが、手紙を読むのを聞いて、火野正平さんの手紙の朗読が上手くて、聞きやすかったことに、あらためて気付かされた。 そういえば、正平さんが手紙を読むときに座っていたプラスチック製の折り畳み椅子は、わが家で洗濯物を干すときに籠を載せるのと同じものだった。
火野正平の「にっぽん縦断 こころ旅」朝版<小人閑居日記 2019.3.5.>
火野正平の「にっぽん縦断 こころ旅」朝版。 俳優の火野正平さん(1949(昭和24)年生れ69歳)が、チャリオ君と名付けた自転車に乗って、視聴者から寄せられた手紙にある思い出の、「こころの風景」の場所へと向かう。 7年以上続き、昨年秋からは、北海道から南下して、静岡までだったが、出だしで北海道胆振東部地震に遭遇した。 一行は5、6人だが、別にカメラを構えるクルーやサポートのメンバーもいる。 途中で、さまざまな飲食店に寄って昼飯、この場面がけっこう多い。 正平さんは辛いのが好きで、タバスコを多用する、そして「ムセ芸」を見せる。 寄って来て一緒に写真を撮りたいという女性にかける決まり文句が「妊娠!妊娠!」 初めに見た時は、よくNHKが火野正平を使うな、と思ったが、考えてみれば、プレーボーイというイメージは、週刊誌広告の見出しやテレビの情報番組で、漠然とそう感じていただけで、本当のところはよくわからないのであった。 正平さん、虫や草花に詳しく、歌がうまい(CDを出していたことなど知らなかった)。 電車やバスで移動する時に使う、「輪行」という言葉に違和感があったが、『広辞苑』の、りんこう【輪行】には「(1)サイクリング(2)公共交通機関で、サイクリングを始める所まで自転車を持って移動すること」とあった。
感心するのは、視聴者の手紙のすばらしさだ。 それぞれのエピソードが、聞く者を感動させる。 「人生を変えた忘れられない風景」、「大切な人との出会いの場所」、「こころに刻まれた音や香りの情景」、「ずっと残したいふるさとの景色」というテーマもよいのだろう。 そうしたテーマだと、ひとりひとりが心に大切にしまってあるものが、自然に湧き出して来て、綴ることができるのかもしれない。 パソコンを使うのか、多くの手紙がプリントされているのも、あらためて現代を感じさせる。
火野正平+NHKチームこころ旅 著『人生下り坂最高!』(ポプラ社・2015年)という本もあるそうだ。
最近のコメント