等々力短信 第1188号は…2025/02/25 07:07

<等々力短信 第1188号 2025(令和7).2.25.>等々力短信五十年、量と質 は、2月18日にアップしました。 2月18日をご覧ください。

春風亭一朝の「居残り佐平次」前半2025/02/25 07:08

 研究会と言っても、落語ですから……、と始めて、(少し間があって)入り方を間違えた、と。 名前が一朝なので、イッチョウケンメイやります、で拍手と笑いをもらう。 「四五両のおこわを息子昨夜(ゆうべ)食い」。 「おこわ」は、美人局(つつもたせ)のことで、アーコワイ、オーコワイが、なまってオーコワ、オコワになったという。 だますことを、「おこわにかける」という。 廓での遊びに上中下がある。 「上は来ず」、「中は昼来て昼帰り、下は夜来て朝帰り、下々が居続けして、そのまた下々が居残りをする」。

 なんだい兄キ、話があるってのは。 みんなと出かけようと思ってな、中(吉原)でなく、足を延ばして南の品川、魚が旨い、台の物が良くて、遊びに厚みが出る。 ちょいといい家で、芸者を揚げて、飲むだけ飲んで、食うだけ食って、思いっきり遊んで、一晩一両ずつの割前を俺にくれるってことでどうだ。 そんな飲み食いをしたら、足が出るだろう。 俺にまかせろてんで、三人は行きますということになる。 日の暮れには着く、サーーア、サーーアと言ってるうちに、品川に着いちゃった。 潮の匂いがする。

 このウチはどうだ。 高そうだよ。 若い衆、四ったりで遊びに来たんだ。 お登楼(あがり)だよーーッ! 梯子段をトントントン。 芸者を揚げて、一杯飲んで、食うだけ食って、どんちゃん騒ぎ、おしけとなる。 俺の部屋に集まってくれ。 約束の割前を出しな、俺が二両足して五両、お前たちに預けるから、明日の朝、お袋に届けてもらいたい。 俺はしばらく、ここで療治をしてから帰る。 居残りをするんだ。 このところ身体の具合がよくない、医者は転地療法で潮風に当たると良い、東海道のどこの宿場でもいいと言った。 ひと月、ふた月いてから、帰ることにする。 心配するな、明日の朝早く、帰ってくれ。 佐平次、一人残った。

 おはようございます。 昨夜はよかったねー。 友達はどうした? 朝早く、お帰りになりました。 奴らは豪儀な商売しているんだ、ちょいと顔出して、二言三言いうと、ガバガバ金が入るんだ。 その金を使うのに、どんどん通って来るよ。 あんなに金を使うってないよ、大きながま口を買っときな。 少し飲み過ぎたんで、お迎えにちょいとやりたい、熱いの一本つけておくれ。 今すぐには帰らない、日が西の方に傾いてからにするか。 お直しですか? 他の若いもんに代わりますので、今までのお勘定を。 アッ、何だ! 大きな声で、困るんだよ。 のべつ払うのかい、君んとこは。 気分のいいまんま、すーーっと、いたいじゃないか。 あいすみません。 それでは、私も代わらず、ここにおりますので。 牡蠣豆腐がいいな、鰻の中串を二人前。 一杯やって、おまんま食って、寝てしまう。 若い衆は、上から小掻巻を掛ける。

 もし、お客さん。 いい心持だったね、今、何時? 三時半です。 湯に入ろう、手拭を貸して。 喉が渇いた、冷やにするか。 お直しですか? 一応、ここまでのお勘定を。 アッ、ダッダ! 感情を害するよ。 それまで待ちなさい、ゆんべの今夜じゃないか、坂の上から俥が三台、ガラガラガラと。 こういう遊びをしたいと言ってたんだ、四人で。 中トロ、貝柱のキユッとしぼったやつで、一杯やりたい。