五街道雲助の「ずっこけ」後半2025/03/07 07:14

 看板です。 客じゃない、こいつを連れに来た。 グデングデンじゃないか、熊、熊! 動物園じゃない。 夕方、湯に行ったきり、帰ってこないって、言うんで来た。 兄ィも逃げられなくなったことがあるだろう、俺が悪かった、勘定を払おうと思った時、お金が……、ない!(バンザイする) グリコの看板か。 湯の帰り、前を通ったら、この野郎が「イラッシャーーイ」というんで、フラフラ入った。 二、三本飲んで、お足がないことに気がついた。 知った野郎が来ないかと待っていたが、今まで来なかった。 兄ィが来てくれた、すまない。 いくらだ? そんなに、ウワバミみたいだな、これで頼む。 釣りは、お前にやる。 毎度ありがとうございます。 釣りの分、酒持って来い。 馬鹿野郎。 釣りで、うまいものでも食え。 余ったら、土地でも買え。 アハハハ!

世間様はお休みだ。 飲み直しをしよう。 この店はどうだ、徳利が並んでいる。 瀬戸物屋だ。 バーがある。 交番だ。 ここのバー、電気が点いている。 共同便所だ。 おしっこする。 やって来い。 兄ィも一緒に、関東の連れションベンという。 腰のとこ、押さえてくれないか。 こっちに来い、前へ向け。 下が滑る、両手を壁に突っ張って、トーーチャクーー! このままでは、できない。 兄ィ、前をめくって、左手でつかんでくれ。 ほれ、早くやれ! 急かすんじゃないよ。 ン、ン、ン、止まっちゃった。 兄ィ、号令を頼む、「シィーートト」って、やつ。 やらないと、一晩中、動かない。 シィーー、シィーー、シィーートト、シロ、コイ、コイ、コイ! いい心持だ。 すまねえな、兄ィ、ほんとの親兄弟だって、こんなことはしてくれない。 兄ィのためなら、命あげたい。 でも、長げえことないかもしれねえ、小便がヘソの穴から洩るようになったら、お終めえだ。 お前、フンドシはずしてないな。 腰のまわりがポカポカしてきた。 セガレが温泉につかっているようだ。 この温泉は、草津(臭ツ)温泉だな。

動けなくなった熊の帯を持って、担いで熊の家へ。 お前んとこの亭主、連れてきたよ。 すいません、お世話になりました。 どてらの中にいる。 これ、どてらだけです。 どっかで、ずっこけたか。 大勢、人だかりがしている。 酔っ払いが、フンドシ一本で、威張っている。 友達だと思ったら、追剥だった。 あんな賑やかな所で、騒いでる。 散って、散って! 腕をつかんで、亭主の中身を、連れてきたよ。 フンドシから、はみ出てるものがある。 今度は、セガレがずっこけた。

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