備蓄米入札、「買戻し条件」の撤廃を2025/05/21 07:05

昨年12月17日に発信した「等々力短信」第1186号 2024(令和6).12.25.「最近気になるCMやニュース」に、こう書いた。

「「令和の米騒動」には、いくつかの原因が指摘されている。 去年の米が、大雨や高温被害で不作だった。 8月コメの在庫が一番少くなる時期に、南海トラフの臨時情報や台風接近による家庭の備蓄が増えた。 インバウンドの需要増加。 減反政策によって、予想される需要ギリギリまでしか生産されていないこと。 新米が出回れば、米の価格は元に戻るといわれていたが、高止まりしているのはなぜか。 スーパーで米がなくなったという報道に便乗して、どこだか素人にはわからないけれど、高止まりさせる企図があって、それが成功したのではないだろうか、と私は疑っている。」

それが5カ月経っても、相変わらずの高値が続いていて、直近の農林水産省の調査では、全国のスーパーの平均価格は5キロ4,268円と、前年同期の2倍の値段になっている。 2倍という値段は、どう考えても異常である。 3月になって、ようやく政府は備蓄米の放出を決め、3月に2回、4月に1回入札を実施、計31万トンが落札された。 しかし、農林水産省の調査によると、3月に放出を決めた約21万トンのうち、4月13日までに小売店に届いたのは、たった1・4%の3018トンだった。 その備蓄米を落札した流通業者は、JA全農(全国農業協同組合連合会)が13万3千トンと9割以上を占め、残りはJAの県本部がない福井県、佐賀県、熊本県のJAなど7つの団体だということが判明していた。 さらに、政府は7月まで毎月10万トンの放出をすることを表明している。 JA全中(全国農業協同組合中央会)の山野徹会長は、5月13日の記者会見で、現在のコメの値段は「決して高いとは思わない」、「われわれとしては、消費者、生産者双方が納得できる適正価格を求めている」と述べた。

 5月16日、政府は市場への供給を増やして米価の下落を促すため、新たな方針を固めたと、報じられた。 備蓄米の入札に参加する際の条件を緩和し、落札した業者から「同等同量」のコメを買い戻す時期を「原則1年以内」から「原則5年以内」に延長するそうだ。 流通業者が、政府の買戻しの時期にコメが調達しづらくなると想定し、小売店に届ける量を抑えようとしている可能性が指摘されているのだという。

「どこだかわからないけれど、高止まりさせる企図があって、それが成功したのではないだろうか」という私の疑念に、そのどこかが姿を現したような気がする。 だいたい、備蓄米の放出に「買戻し条件」があることを知らなかった。 こんな条件があっては、入札に参加する業者が限定されてしまう。 どういうところが参加するか、政府は当然承知していたのだろう。 はっきり言えば、政府とJA全農は、「同じ穴の狢」なのではないのか。

 そこで、「買戻し条件」を「原則5年以内」などと言っていないで、撤廃したらどうだろう。 政府なら、買戻しなどしなくても、あらゆる手段を使い、適当な時期に、備蓄米を積み増すことが可能だと思うからである。 江藤拓農林水産大臣は、果敢に「買戻し条件」の撤廃を断行し、コメの流通を円滑にして、「コメ買ったことない、くれる」などという失言を挽回する、起死回生の一手を打ったらどうだろう。

 石破茂首相、江藤拓農林水産大臣を更迭するなら、同時に「買戻し条件」の撤廃を!

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