柳家喬太郎の「お若伊之助」前半2025/09/09 07:11

 落語研究会、何度も出ているけれど、アウェーな感じが抜けない。 「任侠流山動物園」を……、(袖の方を向いて)わかってるよ、「お若伊之助」やるよ。 雲助師、高座の上だけは、秋風を吹かせようと、単衣の着物で。 こちらは夏物の着物で、冒頭、春のシーンから入る。 また、コロナが流行っているそうで。 数年前は、みな節制、まるで戒厳令が敷かれているよう。 世の中、変わるということは、こういうことかと、思った。 今は、昔に戻ったけれど、油断できない、終戦後ってこれくらいか。 当時は寄席も休みで、散歩に出ると、正蔵から電話で、「寂しい」と。 歌武蔵とはメールをし合ったりして、普段しないことをしようと髭を無駄に延ばす、髭の写真を送り合った。 120キロの巨体、イメージで、兄さん高橋是清みたいですねって。 何だったんだろう、生活様式が変わった。

 幕末、慶応から明治、江戸の匂いを知っている人は、価値観が定まらない。 下根岸、剣術指南の高根新斎と、姪のお若が、二人暮らししている。 三月弥生、お若の住む離れには、桜の花びらが散って来る。 思い出すのは、伊之助のこと、母は雛を送ってくれたが、なぜ伊之助は来てくれない。 逢いたい、逢いたいと、悶々としている。 夕間暮れ、垣根の向こうに一人の男、想い人に似ている姿。 伊之さん! 目と目が合う、やっと尋ねて来てくれたか。 どうぞ、中に入って、伯父は来ないから。 すぐに、嬉しいことになる。

 外から帰った高根新斎は、垣根越しに見た、菅野伊之助ではないか、大枚の手切れ金を渡したのに…。 おのれ、踏み込んで三つ八つに斬るのは簡単だが、鳶頭の初五郎が間に入っている、敷居が鴨居だ。 妹が、横山町の堺屋に嫁いでいる。 娘のお若が一中節を習いたいというので、初五郎がいい芸人がいると菅野伊之助を紹介した。 その伊之助が、お若と理無い(わりない)仲になった。 お若は一人娘、跡を継がせねばならぬ、生木を裂くように別れさせた。 しかし、その伊之助が、また通って来る。

 鳶頭、なぜ伊之助がここを知った。 そんなわけはありませんよ。 わが姪が、伊之助にしなだれかかっていたんだ、昨夜のことだ。 本当ですか、野郎の所へ行って、話を聞いてくる。 洒落にもならねえ。

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