感想文を送ると、やってくれた「浮世根問」の初稽古2026/04/10 07:11

桂枝雀の人柄が分かるので、桂南光の「語る―人生の贈りもの―」の先を読みたい。 「君は落語も聞かんと私とこへ弟子入りに来たんですか」と言われた南光、何とか落語を知っていると伝えたくて、この間、桂春団治さんの『寄合酒』をテレビで見ました、「面白かったです」と。 すると、桂枝雀(小米)は、「それなら君、春団治さんのとこ行きなさい。私の落語も聞いてないのに、私のとこへ来るのはおかしいでしょ」と。 それでも、食い下がって、春団治さんとは気が合わない、小米さんとは気が合うと思うと言うたら、「とりあえず私の落語を聞いて、感想文でも送ってきなさい」と、京都の安井金比羅宮でいまもやっている米朝一門の勉強会のことを教えてくれた。

枝雀(小米)の『寄合酒』を聞き、感想文を送ると、電話がかかって、日曜日に伊丹にあった師匠の下宿先に行った。 「感想文はなかなか面白かった。あなたが噺家になれるかどうかはわからないけど、一応、落語というものを体験してください。お稽古しますからって」。 浴衣を着せてもらって、師匠と向かい合わせで座った。

「浮世根問」という前座のネタを目の前でやってくれはった。 初めて聞きますし、めっちゃおもろい、ガーハッハッハって笑ってたら、師匠が「森本くん(本名)、私はね、君を笑わすためにやってるんやないねんから。これ稽古や。君が覚えて、君がやんねん」って言われたので、「こんなアホなことよう言いませんわ」と言うたことを覚えている。 で、うちの師匠がアッハッハーって笑って「それでは噺家になれませんなあ」。

「はあ、すんません。なんとか頑張りますわ」って。 でも、上下(かみしも)も分かりませんやん。 師匠が「こんにちは」 「おう、おまはんかいな。こっち上がり。どないしてんねん」 「いや、ここんとこ仕事がのうてね。ぶらぶらしてまんねん」 「あかんがな」って、三回ぐらいやりはって、「森本くん、ちょっとずつでいいからやってみて」と言いはった。

「どこ見たらいいんですか」と聞いたら、「いや、どこ見るとかじゃのうて、ここに甚兵衛さんという人がおるねん。その人を見て言うわけや」と。 そして、師匠が動いてくれて、「私が甚兵衛さんだから、私に向かって『こんにちは』と言いなさい」。 それで「こんにちは」と言うと、師匠がまた動いてくれて、「今度は君が甚兵衛さんになって、『おまはんかいな』と言いなさい」。 師匠がいちいち動いて教えてくれはった。

自分なら「そんなことも知らんのか。もう、君、無理やわ」って言うのに。 なんてええ人なんや、この人がええ人で、気が合うと思ったのは間違いないと思った。