「美術商の百年」展2006/02/14 08:52

 12日、新橋の東京美術倶楽部で創立百周年記念「大いなる遺産 美の伝統展」 を見てきた。 これが素晴しい。 国宝を中心とした古美術、日本近代絵画、 近代工芸の三分野で、教科書や美術書、博物館・美術館で見たことのある名品・ 名作がたくさん集められている。 午前9時からやっているというので早めに 行ったのに、知る人ぞ知る、かなりの人がつめかけていた。 美術商という職 業は、江戸時代初期に成立し、東京美術倶楽部は明治40(1907)年、全国の主な 美術商が一致団結して創立したのだそうだ。

 先週だったかNHK『新日曜美術館』が、コレクターと美術商の関係を扱っ ていた。 すぐれた美術品を見出し、それを名家やお金持に紹介し、教育し、 コレクターに育てるについて、美術商の役割が大きい。 その執念で名品の海 外流失を防いでもいる。 番組に登場した美術商の方々が、見識はもちろんだ ろうが立派で品格のある人達だったのが印象に残った。 この番組に出てきた 「キャバレー太郎」といわれた福富太郎さんの旧蔵で、いい所ポーラ美術館に 嫁入りしたと紹介された岡田三郎助「あやめの衣」を始め、宋・定窯「黒釉銹 斑紋碗」、五島美術館蔵・国宝「源氏物語絵巻 鈴虫(第二段)」、前田青邨「洞 窟の頼朝」なども、東京美術倶楽部にあった(MOA美術館の仁清の壺は前日11 日までの展示、一日違いで見られなかった)。

 私の大好きな平櫛田中の彫刻「禾山笑(かざんしょう)」があったし、小出楢 重、萬鉄五郎、海老原喜之助、村山槐多、松本竣介の油絵も印象に残った。 先日、三井記念美術館で見たばかりの国宝・志野茶碗「銘 卯花墻」も来てい た。