古今亭菊六の「四段目」2012/09/02 01:07

 8月30日は、第530回の落語研究会だった。 演目は、 「四段目」    古今亭 菊六 「笠碁」     橘家 文左衛門 「提灯屋」    三遊亭 小遊三       仲入 「夢の酒」    林家 正蔵 「二十四孝」   柳家 小満ん

 開口一番の古今亭菊六は、「待ってました、四丁目」の菊六である。 きちん とした鶯色の羽織と着物、腰を低くして出て来て、大仰に手をついてお辞儀す る。 菊六最後の落語研究会、9月21日に真打昇進、古今亭文菊を襲名すると 言って、拍手をもらい、言うつもりはなかった、と。 何事もほどほどがよい と、噺に入る。

 小僧の定吉が加賀屋の使いから帰り、旦那に呼ばれる。 出かけたのが朝の 8時で、今は午後4時。 いろいろあった、蔵の掃除の手伝いをした、加賀屋 の旦那が近日伺うからよろしくと。 嘘、つくな、旦那はたった今までここに いらっしゃった。 おやおや。 芝居を見ていたんだろう。 芝居は大嫌い、 みんなが定吉は芝居狂いというのは、出世を妬んでのことで、芝居は男がべた べた白塗りをして、こんな声(市川団十郎の声色)を出すので嫌いだと、定吉。  旦那は、ちょうどよい、明後日の休みに店のみんなで芝居見物に行こうと思う が、定吉が嫌いなら留守番をしといてくれ。 お向こうの佐平さんが芝居を見 て来て、五段目で海老蔵が猪(しし)の前脚、小林麻央が後脚をやったといっ ていたよ。 そんなことはありませんよ、五段目の猪(しし)の脚は大部屋の 役者が一人でやるもので、だって、あたい今まで見ていたんですから。 ほら、 芝居を見ていたんじゃないか。 やかんに、図られた。 蔵ん中に放りこんで おこう。

 おまんま食べさせて下さい。 旦那、勘弁して下さい。 お清どん、おむす びを。 笑って行っちゃった。 蔵ん中は、暗くて、じめじめしているな。 怖 くて、お腹も空いてきたから、芝居の真似でもするか。 四段目、塩冶判官腹 切りの場、デーーン、デーーン、上使の石堂右馬之丞と薬師寺治郎左衛門、ご 酒を一つ、判官は下に白装束を着ていた。 デーーン、「力弥、力弥、由良助は まだか」 「いまだ参上仕りませぬ」 「存上で対面せで、無念なと伝えよ。 いざご両所、お見届けくだされ」 腹を切ったところに、ようやく由良助到着。  「御前ッ」 「由良助かぁー」 「ははぁー」 「待ちかねたぁー」

 お腹、空いたなぁー、旦那、勘弁して下さいよ、旦那ぁー。 もっと定吉に、 自由を。 餓死したら、新聞に載りますよ、非情な店主、小僧餓死って、ざま あみやがれ。 今のは嘘でした、旦那、お腹ペコペコなんです。

 それでも道具立てが必要と、蔵の箪笥を開け、裃と三宝代わりのお膳、九寸 五分の一刀まで探し出し、また芝居の真似。 女中のお清が心配して覗くと、 ギラギラ光った刀をお腹に突き刺そうとしている。 「大変です、定吉どん、 腹切ってる」 何か持って行ってやらなかったのか。 おかずなんか、いらな い。 と、お鉢を持って、蔵へ。 「旦那―ッ」 「ご膳ッ」 「蔵の内でか ぁ」  「ははぁー」 (泣きそうな声で)「待ちかねたぁー」

 ちょっと硬くなっていた感じだが、菊六は上手い、勉強もしているのが芝居 のセリフなどに出ていた。 しかしこの先「上手いだろう」を表に出さないよ う、ほどほどにするのが、肝要かと思われた。

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