1938年の『帝大騒動』に似る、と古川隆久教授2020/11/30 07:11

 加藤陽子さんの大学・大学院での2年下、古川隆久日本大学教授(58)が、19日朝日新聞のインタビューに答えた(聞き手・桜井泉記者)。 古川教授は、菅義偉首相による日本学術会議会員の任命拒否問題に対し、撤回を求めるネット署名を、同期で加藤さんの同僚の鈴木淳東大教授とともに中心になって呼びかけたという。 戦前に学問や表現の自由を弾圧し、戦争に突き進んで破滅した国家の歴史を研究してきた立場から、見えてくるものを語っている。

 「滝川事件は、滝川の講演を聞いた検事総長が、問題だと騒ぎ、ことを大きくしました。天皇機関説でも、右翼の激しい攻撃に政府が引きずられる格好でした。いきなり政府が弾圧したのではなく、扇動者がいたということです。ところが今回は、政府の方から問題を起こし、理由も示さない。やり方が不公正だと考えざるを得ません。38年(昭和13年)には『帝大騒動』も起きました。これも知っておくべきでしょう」

 「第1次近衛文麿内閣で、途中から文部大臣になった陸軍大将の荒木貞夫が、帝国大学の総長や教授の人事に介入した事件です。かつて陸軍大臣を務めた荒木は、日頃から精神教育の大切さを主張していました。日中戦争が始まり、軍国主義が高まる中、国民にも精神教育が必要だ、として起用されたのでしょう」

 「大日本帝国憲法には大権、つまり天皇の権限として文武官を任免することが規定されています。帝大教授も身分としては文官ですが、それまでは教授人事は学内で決められ、総長も選挙で選んでいました。天皇による任免は形式的だったわけですが、選挙には弊害がある、とする荒木は、『教授は官吏たることを自覚せよ』と主張し、天皇大権を持ち出して政府による人事介入を正当化しました」

 「学術会議は自主的に会員を選び、それに基づいて首相が形式的に任命してきました。ところが菅首相は、自らの任命権を振りかざして介入してきた。帝大騒動とよく似ています。」

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