鈴木貫太郎中将、1918(大正7)年のスピーチ2020/12/03 07:05

 鈴木貫太郎は、海軍大将、連合艦隊司令長官、軍令部長、侍従長、枢密顧問官などを歴任、2・26事件で重傷を負い、太平洋戦争末期内閣総理大臣となり、ポツダム宣言を受諾した人物だが、秋吉利雄と二度、縁があった。

 第一は、海軍兵学校卒業後、1918(大正7)年の米国と中米への練習艦隊航海に中尉で参加したが、鈴木貫太郎は中将で艦隊司令官だった。 乗艦は「磐手」と「浅間」と異なっていたから直接に言葉を交わしたことはなかったが、アメリカに上陸しての晩餐会で、司令官のスピーチを陪聴することができた。 もし日米が戦うことがあれば、という容易ならぬ話題だった。

 「この日米戦争はアメリカでも日本でもしばしば耳にする。しかしこれはやってはならぬ。いくら戦っても日本の艦隊は敗れたとしても日本人は降伏しない。なお陸上であくまで闘う。もしこれを占領するとしたらアメリカで六千万の人を持って行って六千万と戦争するよりほかにない。アメリカは六千万人を失って日本一国をとったとしても、それがカリフォルニア一州のインテレストがあるかどうか。日本が勝ったとしても、アメリカにはアメリカ魂があるから降伏はしないだろう。ロッキー山までは占領できるかしれんが、これを越えてワシントン、ニューヨークまで行けるかというに日本の微力では考えられない。そうすると日米戦は考えられないことで、兵力の消耗で日米両国はなんの益もなく、ただ第三国を益するばかりで、こんな馬鹿げたことはない。太平洋は太平の海で神がトレードのために置かれたもので、これを軍隊輸送に使ったなら両国ともに天罰を受けるだろう。」

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