本屋でみかけた大平正芳さん2020/12/16 08:12

 12日、志木高新聞部の一年後輩で、毎年一度開くOB会の面倒をみてくれている西光由さんからメールをもらった。 この日の日経新聞「私の履歴書」に「大平氏 思慮深き読書家」という記事があって、昔、私が本屋で大平正芳さんを見かけたと書いて、新聞の記事になったことを思い出した、というのだ。 よく覚えていてくれたものだと感心し、すっかり嬉しくなった。

 福川伸次元通産次官の「私の履歴書」も送ってくれていて、閑居以来日経新聞を読んでいない私も、それを読むことができた。 1968(昭和43)年11月末、大平正芳氏が第2次佐藤栄作改造内閣の通産大臣に就任したとき、福川伸次さんは大臣秘書官になった。 「大臣は大変な読書家で、「半ドン」の土曜午後にはよく虎ノ門や六本木の書店に立ち寄った。「どういう本が並んでいるかで世相がわかる」といい、買い求めた本を車中で読んで聞かせていただいたこともあった」とある。

 私が新聞記事になったのは、読売新聞の1979(昭和54)年7月6日朝刊「都民版」。 見開きの真ん中二面にわたる大きな記事で、「はがきに世情映した超“ミニコミ紙”」、「「等々力短信」すでに151号 世田谷の馬場さん」「読者40人 海外へも」の見出しで、和文タイプを打っている(まだかなり髪の毛のある)私、短信147号の謄写版刷のはがき文面、短信をまとめて手作りした本の写真が載っている。 その左側に、「等々力短信」の4回分が原文のまま紹介されていて、その中に「本屋でみかけた大平さん」があった。

 「ある日曜の午後のことである。ぶらり二子玉川の紀伊国屋に出かけて本をさがしていた。すると経済学の書だなの前に、どこかで見たことのあるおっさんがいて、やはりあれこれ手にしている。大平正芳氏であった。
 地味な格好で注意してみなければ気がつかない。警備の人も供もいなかった。その時は幹事長で、たしか次の週に選挙を控えていた。忙しい身体だし、人に命ずれば本など何でも手に入るだろうにと、大変好ましく思った。本好きにはやはり、自分で本屋に出かけずにいられないのだ。
 この20日土曜日の午後、大平総理大臣は虎ノ門の本屋に立ち寄り約30分選んでジョーン・ロビンソン『現代経済学の解剖』、森嶋道夫『続イギリスと日本』、『中国英傑伝』他一冊を買った。
 背広に下駄をはきふろで浪花節をうなる人、7%を世界に公約したまま去った人、よりもだいぶ人品骨柄が上等とみて期待している。
                  (「等々力短信」135号 1979(昭和54)年1月25日)」

 その読売新聞の記事を書いてくれた人については、また明日。

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