入院して「文学」に親しむ?2020/12/22 06:57

 俳誌『夏潮』の本井英主宰がふらんす堂のホームページで連載されている「本井英の俳句日記」(http://furansudo.com「連載」参照)の12月13日に、こんなことを書いておられた。 中学3年生の12月、急性腎臓炎で山王病院に入院した。 病室は2階の角部屋で、その真下が「ニューラテンクオーター」というナイトクラブの入口だった。 時々、夜晩く、10歳年上の兄が見舞いに来てくれた。 その病室、中3の男の子の入院先として、相応しかったかどうか。 この病気がきっかけで、「文学」に親しむようになってしまった、と。

 それで思い出したのは、私が高校3年生の9月、前期末の試験を前に、いわゆる「盲腸炎」、虫垂炎になって慶應義塾大学病院に入院して手術を受けたことだ。 別館中央3階303号室という古びた部屋に入院したが、隣の部屋に慶應のアメリカンフットボール部の選手が入院していて、親しくなった。 病気は痔だったかと思う。 回復期だったのだろう、退屈していて、新宿へ遊びに行こうよ、と言う。 とても、とても、と断った。 4年生で、法学部だからとガードナーの『ペリーメイスン』を読んでいて、貸してくれた。 茶色くなった日記風の「盲腸で入院の記」というノートが出てきて、題名がわかった。 『怯えるタイピスト』と『ころがるダイス』だった。

 入院のつれづれに、いろいろと本を読んでいる。 受けられなくなった期末試験の勉強は、まったくしていない。 「「文学」に親しむ」とは、ほど遠く、ろくなものでない。 源氏鶏太『麗しのオールドミス』、獅子文六『青春怪談』『東京温泉』、松本清張『紙の牙』、鷲尾三郎『仮面の死神』、かろうじて三島由紀夫の最新書下ろし『鏡子の家』一部、二部があった。 ただし、「『鏡子の家』は頭をボンヤリさせるだけ。むずかしくて、スジでは読めない」とある。

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