スコットランド独立、再住民投票は実現するか2021/05/23 07:09

 スコットランドの独立賛成派は、連合王国を離脱し、EUに再加入する道を思い描いている。 スコットランドの人口は約550万人で、デンマークやフィンランドと同規模だ。 北海油田など天然資源に恵まれ、漁業やスコッチウイスキーなどの食品産業、金融業なども盛んだから、英国の7倍あるEU単一市場への完全なアクセスを取り戻せば、立派に自立できると考えているのだ。

 だが、現実的には、課題も多い。 通貨をどうするかや、赤字の財政構造などに加え、2020年のブレグジット(英国のEU離脱)によって、独立後にEUに入れたとしても、非EUの英国との間には関税措置などが必要になる。 輸出の6割を占める英国との貿易の障壁は、経済的打撃が大きい。 成長産業の金融も、ロンドンとの結びつきが強い。 石油産業の未来も暗く、産業の転換が必要になる。

 住民投票やり直し実現へのハードルも高い。 法的に有効なものとなるのは、英国議会の同意が必要とされるが、ジョンソン英首相は、独立を争点にした住民投票は「一世代に一度」であるべきだとして反対している。 スコットランド議会選で独立派が過半数を得たことで、司法判断に持ち込まれる可能性もある。 連合王国にとっては、今回の結果が、北アイルランドやウェールズでの独立や分離の動きに影響を与え、連合王国の解体につながりかねない危機という、大きな懸念材料である。