「独占告白 渡辺恒雄~戦後政治はこうして作られた 平成編~」2021/08/29 07:22

NHK BS1スペシャル「独占告白 渡辺恒雄~戦後政治はこうして作られた 平成編~」は、2021年4月の読売新聞グループ合同新人研修での、渡辺恒雄さんの講話から始まる。 1991(平成3)年に社長に就任して以来の恒例行事だそうだ。 95歳の渡辺恒雄さんは語りかける、71年に及ぶ記者人生を振り返り、好きなことをやり、好きな新聞を作る、そういう運のいい道を歩いてきた、95歳で権力のてっぺんにいる面白い会社だ。 相当なことを筆の力でやるチャンスが必ずある、僕もそれを使って今日までやってきた、諸君は、その大変な力を授かって、今、ここにいるのだ。 相当好きなように書かせてもらえる、国を動かす、政界を動かすこともできる。 努力は必ず報われる、この世界では。

渡辺恒雄さん、1989年からの平成を、読売新聞グループ本社代表取締役主筆、そして読売巨人軍オーナーを務めた、特異な人物像を描く番組だ。 大越健介さんは1989(平成元)年に政治部記者としてそのキャリアをスタートさせたが、政治の動きの中で、しばしば渡辺さんの名前が出てきたと言う。

<政治とメディアのあり方>を尋ねる。 渡辺恒雄さんは、好きなパイプを控えている、95だよ、と言う。 社長になった1991(平成3)年、ソ連の崩壊で、権力構造が世界的に変わった。 共産主義の独裁的な官僚システムは、よくない。 今までの、嫌な左翼ファッショみたいなあれが、変わるかなと期待した。 相当変わった。 1989(平成元)年のベルリンの壁崩壊で、東西冷戦が終結したが、1991(平成3)年には湾岸戦争が起こった。 第二次世界大戦後、アメリカは外交政策まで変えることができた。 伝統的にそうで、戦争相手の日本を、抱きかかえた。 日本も変わらなければならなかった。

時代は政治改革を求めた。 中選挙区制・金次第と思っていた政治家は駄目だ。 リクルート事件(1988(昭和63)年)、佐川急便事件(1992(平成4)年)が起こり、金丸信が逮捕され、政治不信は頂点に達した。 小選挙区制の政治改革(1994(平成6)年)で、55年体制は崩壊、自民党は下野し、細川政権が生まれた。 政治ってものは、理想と現実のはざまがあって、どうしても埋められない溝がある。 だから改革ができない。 政治家の器が、小さくなった。