小三治の「まくら」最新版、「国立印刷局」の秘密2021/10/14 07:03

      小三治の「まくら」最新版<小人閑居日記 2004.6.20.>

 18日、「いのちの電話」チャリティ「柳家小三治 独演会」へ行った。 もう一つ別の会合の予定があったのだが、そちらは毎年あるので、失礼した。 小三治の独演会は、なかなか聴くチャンスがないのである。 柳家三三を前座にして、「転宅」と「居残り佐平次」の二席を語った。

 小三治の独演会といえば、長いマクラである。 最近、気になっているものがある。 切手やコインの蒐集家の会報のようなもので読んだ。 気がつかなかったのだけれど、大蔵省が財務省になった時、お札の「大蔵省印刷局製造」の文字が「財務省印刷局製造」に変わっていた。 そうかと、お札を見てみると、なるほど「財務省」になっている。 「私が感心しているんだから、そんなのは当たり前だなんていっちゃあ、イヤヨ」。 それが、省の名前が変わるたびに、お札を変えるのは大変だと、誰かが頭を働かせたんでしょう、去年あたりから「国立印刷局製造」にした。 今日も樋口一葉の新五千円札の絵柄がようやく決まったと発表されていたけれど、もうすぐ11月ごろには、新しい札になる。 新札がまもなく出るのだから、古い模様の札はそう印刷していないだろう。 すると、「国立印刷局」が入った今の札は、希少価値が出るわけですね。 業者の間では、ピン札で15,000円から18,000円するという話もある。

 前例もある。 昭和39(1964)年の東京オリンピックの年の100円玉、記念硬貨が出たから、それを造っている分、従来のは数が少なかった。 板垣退助のアズキ色の五百円札も数が少ない。 実は私もピン札で、6束持っている。 どこにもなかったのが、熊本の肥後銀行にあった。 肥後の熊本は遅れているんでしょうか。

それで、「国立印刷局製造」の一万円札を探してみる。 これが、ない。 楽屋で、一枚もない。 金もないのだけれど…。 銀行の、何というんですか、カードを入れると、札の出る機械、私はあれが嫌いでね、一度やったらカードが呑み込まれたんで、やらないことにしている。 それが、ある人がやったら、あの機械から「国立印刷局」が二枚出た。 一枚分けてもらいました。 素人の間では、お札をいくらで引き取るということは、やってはいけないことになっている。 それはしないのよ。 あちこちで話していたら、10枚持ってきた人がいる。 次は30枚、7万円しか持っていなかったから、借りておいて、23万円届けた。 とうとう70万円集まった。 その頃になると、何だかわからないが、どうも金がない、苦しくてしようがない。 金はみんな「国立」になっていた。 50枚持ってきた人がいたけれど、お断りした。 何でこう沢山出てくるのか、寄席の客の中に財務省のスパイがいるに違いない。 話を聴いて、輪転機でどんどん刷る。 私がいくらがんばっても、輪転機にはかなわない。

 それで、苦しいこともあるし、連番になっていないものから、少しずつ使うことにした。 小沢昭一さんによると、そういうのはピン札もピン札、刷ったそのまんまじゃないとダメ、まったく価値がないという。 だから、止むを得ず使う時には、折って渡す、グシャグシャにしてから、渡す。 それでもせっかく集めたのを使うのは、クヤシイじゃない、と思う今日この頃です。 皆様、いかがお過ごしですか。

        「国立印刷局」の秘密<小人閑居日記 2004.6.21.>

 今朝『朝日新聞』を見ていて、「国立印刷局」の秘密がわかった。 「ニュースがわかる」という欄の「新紙幣3種、11月発行 偽造防止に最新の技術」という記事に、「独立行政法人国立印刷局」とあったのである。 そうか「独立行政法人」になったのか、と納得した。 で、「国立印刷局」のホームページを見たら、「財務省印刷局」になったのが平成13年1月、「国立印刷局」になったのは平成15年4月1日と、わかった。

 ここからは、『朝日新聞』でも、「国立印刷局」でもない。 単なる噂話だ。 11月に新札を発行するというのは、ごっそりタンス預金(「タンスよりスイス」というスイスの銀行のインターネットの広告は、見るたびに笑ってしまう)されている古い札を、当局がいぶり出して、そのよって来る原因を追求し、税金をかけようという魂胆だというのである。 こちらはタンス預金など、まるでないから、平気の平左だが、時々5人組の泥棒が億単位の札束を盗んだなどというニュースがあるから、心配な人はさぞ心配だろう。

 勘ぐれば、大蔵省印刷局→財務省印刷局→国立印刷局への表示の変更も、いざという時に、紙幣の年代を特定する意図があるのかもしれない。 タンス預金をお持ちの方は、さっそく「国立印刷局」紙幣にマネー・ロンダリングしておくことをおすすめする。 この日記を読んで知り、もし成功の暁には、お気持だけの成功報酬を、よろしく。

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