『歴史探偵』「写楽 大江戸ミステリー」2021/10/22 06:53

 9月29日にNHKテレビ『歴史探偵』で「写楽 大江戸ミステリー」という番組があり、写楽の正体に迫る大発見と予告していたので、録画して見た。 6月に蔦屋重三郎を書いた流れで、7月には東洲斎写楽についても、いろいろ書いていたからだ。

「謎の絵師」東洲斎写楽〝発見〟<小人閑居日記 2021.7.8.>

蔦屋重三郎と深い親戚、八丁堀の石屋〝松芳〟<小人閑居日記 2021.7.10.>

東洲斎写楽は蔦屋重三郎説の榎本雄斎氏<小人閑居日記 2021.7.11.>

蔦屋重三郎の墓と八丁堀の石屋芳兵衛<小人閑居日記 2021.7.14.>

 そこで『歴史探偵』「写楽 大江戸ミステリー」だが、写楽の正体は? 40ぐらいの説があり、北斎説、歌麿説もある、と始まる。 結論として、2008年にギリシャのコルフ島のアジア美術館で東洲斎写楽の肉筆画が見つかったという。 扇子に『忠臣蔵』二段目から、四代目松本幸四郎の加古川本蔵、松本米三郎の本蔵の娘・小浪を描いていて、署名と花押がある。 筆遣いは、太くゴツゴツした力強い線だ。 北斎の肉筆画はのびやかな描き方だし、歌麿のそれは髪が細い線で長く描かれるので、北斎説、歌麿説は駄目だという。

 東洲斎写楽は、天保15(1844)年の斎藤月岑(げっしん)『増補 浮世絵類考』の記述から、徳島藩主蜂須賀氏のお抱え能役者、斎藤十郎兵衛だという説が有力だとした。 「東洲斎」は、「斎」を先頭にもってくると、「斎藤十」となるアナグラムだという。

東洲斎写楽は、版元蔦屋重三郎(山に蔦の葉のマーク)のプロデュースによって役者大首絵を28枚同時に出す衝撃のデビューをした。 役者大首絵には、《四代目岩井半四郎の重の井》の一瞬の微笑みなど、独特の一瞬を切り取る力があった。 浅野秀剛大和文華館館長は、資金のなかった蔦重が役者絵が売れそうなことに目を付け、興行主や贔屓筋のスポンサー付きで出版をプロデュースしたのだろう、売り上げとスポンサーからのダブルインカムがあったとした。 蔦重の意気込みは、背景に豪華な黒雲母摺(くろきらずり)をふんだんに使い、用紙も上等な和紙を使用したことでもわかる。 和紙の研究者は、当時の普通の役者絵(坂東薪水を描いたもの)が荒っぽい紙、恐らく再生紙なのに、写楽の大首絵は電子顕微鏡で見てもきめの細かい上等な和紙だと指摘した。

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