沸騰する世論に、反対意見を言えなくなる2022/01/13 06:59

 それでもまだ、近衛首相は、ルーズベルト大統領との首脳会談に望みをつないでいた。 薮中三十二さんは、唯一のチャンスだったかもしれない、と。 しかし10月2日、首脳会談は拒否され、10月6日に近衛文麿が内閣を投げ出す。

 陸海軍統帥部の思惑。 陸軍は、アメリカとの戦争は海軍の仕事とする、陸軍と海軍のセクショナリズムがあった。 下の作戦の都合で日程を決めて、上に何とかしてくれという状況。 中野信子さんは、「先延ばし」の遺伝率は高く46%、生き延びられやすい家の人、貴族(近衛文麿首相)が決断をさせられるのは、国際社会の文脈とはかなり違う、と。

 重要だと思ったのは、新聞と世論の動向だ。 ナチスドイツがイギリスに勝ち、アメリカがヨーロッパ戦線にかかりきりになる、日独伊三国同盟・ソ連との中立条約、海軍の戦力は対米7割、緒戦で叩けばアメリカは戦意を喪失する、など楽観的見通しが積み重なった。 陸軍には、既に4年間戦っている中国からの撤兵は出来なかった。 軍部の煽った新聞などにより、英米に反発して沸騰した世論の国際状況把握に、反対意見を言うことが出来なくなり、引きずられることになった。

 中野信子さんは「コンフリクトセオリー」、同じ集団を二つの集団に分け、対立させるのに五日あれば十分、それほど人間というのは戦争を望む生物だ。 為政者が煽ると、短期的にはよくても、長期的に見たら、その形で国を維持するのは大変だ、と。 真山仁さんは、世論イコール正義になった時が危険、もともと空気を読む国だから、コロナの自粛警察のように、正義に至るまでは冷静、そこに妙な圧がかかると、理性が消えて感情的になると、怪物になってしまう。 薮中三十二さんは、そういう世論の中で、説得するのは困難になる、と。

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