『わげもん―長崎通訳異聞』の概略2022/02/23 07:21

 『わげもん―長崎通訳異聞』で、長崎奉行所はアメリカの漂流民14名を抑留していて、アメリカから迎えの船が来ることになっている。 その中のカイという名の男が逃げ出し、親しくなった壮多が、神頭有右生を頼って一時芸者置屋に匿う。 カイは「イ・ムア・エ・ナー・ポーキイ」という謎の言葉を発し、後にハワイ人で、言葉はラグビーのハカ(ウォー・クライ)のようなものだとわかる、「親愛なる若き兄弟たちよ、前に進め!」。 14名を迎えに来るのに、一人足りないのだから、奉行所は困ってカイを探す。

長崎奉行は江戸から派遣されるが、家老は代々長崎の者が務め、周田親政(武田鉄矢)が絶大な権力を握っている。 芸者置屋には、出島や唐人屋敷からお座敷がかかり、伊嶋壮多や未章は箱屋(荷物持ち)となって付いて行くので、出島の中を探索することが出来た。 オランダ船が入港し、その荷役に駆り出された壮多は、抜け荷(密貿易)が行われていることに気づく。 出島の勝手方ヤンセン(村雨辰剛)が関わっているらしい。

余談。 村雨辰剛(たつまさ)は朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で、進駐軍の米陸軍中尉ロバート・ローズウッドを演じた、スウェーデン出身で日本に帰化した庭師で役者。 未章のトラウデン都仁(トニ)は、父がドイツ人、えまの浦浜アリサは、父がイタリア系アメリカ人だそうで、長崎が国際都市なら、役者も国際的である。 置屋に出入りする女医えまがオランダ人を父に持つハーフで、出産に立ち会う設定だから、どうしてもシーボルトの娘・稲イネを連想してしまう。 福沢諭吉とシーボルトの娘イネについては、<小人閑居日記 2021.10.29.>で触れ、福沢と北沢楽天(清水勲さんの「福沢諭吉と漫画」再録)<小人閑居日記 2021.12.16.>でも補足した。

 壮多は、老通詞が父失踪の秘密を知っていることを突き止め、話を聞く約束をするのだが、その老通詞は殺され、お尋ね者として壮多が捕えられてしまう。 牢に入れられていると、新しく入ってきた男に殺されそうになる。 移された牢を森山が訪れ、とうとう口を閉ざしていた父失踪の経緯を告白する。 家老一派が抜け荷に関わっていることをつかんで、江戸へ直訴に向かったのだが、その途次に殺されたというのだ。 奉行所配下の通詞たちは、それを明らかに出来ない。 姿をくらませていた神頭有右生が、牢の床板を破って現れ、壮多を救い出してくれる。

 どうも、この辺からがよくわからない。 私の理解力と記憶に問題があるのだろう。 神頭有右生はバタビアとの関係で過酷な体験をしており、船を持っている。 カイの代りに、別の外人を送り込んで、14名にする。 奉行所は、迎えのアメリカ軍艦と14名を返すことで交渉、森山の英語が功を奏する。 壮多が出島でつかんだ抜け荷の事実と、森山が長崎奉行に真実を告げる決意が重なって、長崎の政治と交易の権力を握っていた家老の周田親政は失脚する。 壮多は、外国船として長崎退去を命じられた神頭の船で、バタビアへ行くよう誘われるが、森山に説得され、長崎で通詞を目指すことになる。 めでたしめでたし。

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