NHK新人落語大賞、桂二葉「天狗刺し」2022/02/25 07:07

そんなわけで、令和3年度NHK新人落語大賞の放送(昨年11月23日)を見た。 東京予選63名、大阪予選54名、計107名が参加、予選を勝ち抜いた東西3名ずつ6名の若手落語家が、11月1日NHK大阪ホールで大賞を目指した。 司会は、林家たい平と南沢奈央。 持ち時間は15分。 エントリーしたのは、次の6名と演目。 くじ引きの順番、女流二人が最後に出た。

三遊亭好志朗(48歳) 「権助魚」

桂 小鯛 「親子酒」

笑福亭生寿 「近日息子」

春風亭昇也 「壺算」

林家つる子 「お菊の皿」

桂 二葉(によう) 「天狗刺し」

 審査員は、柳家権太楼、桂文珍、片岡鶴太郎、堀井憲一郎、広瀬和生(ヘヴィメタ雑誌編集長、落語評論家)。

 私が面白かったのは、上方の桂二葉(によう)「天狗刺し」。 おかっぱ頭で、高い声を出す。 浪花のいちびり娘(お調子者)、昭和61(1986)年生れの由、桂米二門下、米朝事務所所属。

 「鳶が鷹を生む」を「天狗がタコを生む」だと思いこんでいるアホなおっちゃん、甚平さんに銭儲けの相談。 「スッキャキ」がいいと思うんだが、牛肉は珍しないから、天狗のスッキャキ屋はどうやろう。 物識りに聞いた。 二間半の鳥小屋をつくって、天狗を五、六羽入れておく。 一間の調理場で天狗をさばく。 天狗をさばくいうても、「天狗裁き」ちがいまっせ。

 天狗をどこで、仕入れるんだ、と甚平さん。 それを相談したい。 わしも忙しいんだ。 天狗なんて、おるかい。 昔は、おったんやろ。 本場は? 京都の鞍馬山、十羽、二十羽とおる。 ヨソでは言いなはんな。

 アホなおっちゃん、太い青竹持って、大杉が聳え立つ、夜の鞍馬山へ。 奥の院で、深夜の行を終えた坊さん、扉をギギギィーと。 天狗の鳴き声だ! アホが、青竹で足をすくったから、坊さん、バターーン。 ぐるぐる巻きにふん縛って、さるぐつわをかませる。

 ふん縛った坊さんを担いで、京の町に降りて来る。 町の人は、あれ、何だい? と、びっくり。 ボンサン! ボンサン! ボンサン! あれ、坊さんだ。 アホも、自分が坊さんを担いでいるのに、びっくりして、「スッキャキ屋じゃないと、天ぷら屋にするか、はなから衣ついてまんな」

 審査の結果、桂二葉、満票を獲得して、新人落語大賞を受賞した。