「太平洋戦争とは輸送の戦い〝補給戦〟だった」2022/03/02 06:58

 半藤一利さんが、2012(平成24)年になさった「リーダーシップ論」(この日記の2021年2月19日~22日に書いた)という講演の最後で、太平洋戦争について質問しているのがあった。 その問いと答の一部をあげておく(2月22日分から)。
(2)太平洋戦争の戦闘員の戦死者は、陸軍165万人、海軍47万人とされる。
このうち広義の飢餓による死者の比率は?(1965年3月厚生省調査)
a. 10% b. 40% c. 70%
 答は70%。日本軍がいかに兵站を無視して、無茶なことをやったか。2004年現在の調査で、陸海軍合わせて戦死者240万人になっている。
(3)同じくこのうち海軍の海没者数は18万人、陸軍は?
a. 2万人 b. 18万人 c. 40万人
 答は陸軍も18万人。 海没とは、輸送船で運ばれていて敵の潜水艦に撃沈され何もしない内に船の中で戦死しなければならなかった、文字通り「水漬く屍」。 他に徴用された船員が6万人、亡くなっている。

「餓死・飢餓による戦死」「海没」。 太平洋戦争敗戦の大きな原因は、日本軍が兵站・ロジスティックスを尊重しなかったことにあるということは認識していた。 だが、日清戦争前から、海軍の拒否で陸軍は兵士の海上輸送を自前で賄うしかなかった、ということは知らなかった。 輸送と補給は軍事の要諦だが、日本は軽視したまま破局に向かった。

それを知ったのは、昨年12月14日の朝日新聞朝刊、堀川恵子さんが『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(講談社)で第48回大佛次郎賞を受賞したという記事だった。 選考委員の一人、田中優子さんは選評に、この本からこう引用している。 「太平洋戦争とは輸送船攻撃の指令から始まり、輸送基地たる広島への原子爆弾投下で終わりを告げる、まさに輸送の戦い〝補給戦〟だった。」