「正解はすぐそばにある、けしてあきらめるな」2022/03/26 07:12

 3月14日、小泉信三記念講座がZOOM配信で行われ、まったくの門外漢だが、大西公平慶應義塾大学理工学部名誉教授の『ロボットがいる!』という講演を視聴した。 大西公平名誉教授は、電気電子工学のうち、特にモーションコントロールやハプティクス(Haptic 触覚学・接触学)を専門とする研究者だそうだ。 人間が当たり前のように持つ力触覚(力覚と触覚の共通部分)を再現する技術であるリアルハプティクスについて、解説された。

 偉大なパイオニア、GEのモジャーの「力触覚の伝達は可能なのか」という提案は40年前だった。 人間が卵やケーキをつかむ時、どのように対象に触っているか。 その力触覚(力覚と触覚の共通部分)を再現して、産業用ロボット(触らなくてよい熔接や塗装はあった)などに応用しようと考え、研究が始まった。 人間の力触覚を観察すると、触って、反作用力を感じる、それを素早く繰り返す、双方向のループ、フィードバック構造になっていることがわかった。

 手元のマスター(親機)の動きを、遠隔のスレーブ(子機)に、どう伝えるか。 ここからのフロンティア開拓史、失敗の分析を、なるべく数式を使わずに説明されたのだが、私には理解不能だった。 加速度を使って、壁を乗り越える。 ダイナミクスを付加して、出来るだけ速く収束させる。 アダマール変換を入れる。 実験によって検証し、同じことを縦列にしてみるとよい、等々。 ともかく、リアルハプティクス技術によって、ロボットが優しく動く、力触覚が実現され、人のような動作(タッチング)が可能になった。 教訓は、正解はすぐそばにある、けしてあきらめるな、だった。 幸せはすぐそばにある、メーテルリンクの「青い鳥」である。 答は、先達のさまざまな提案を含んでいた。 ベルがネットワークの原型である電話を発明してから、インターネットまで100年かかった。