「桜」と「春惜む」の句会2022/04/18 07:07

 珍しく、雨になった14日、渋谷句会が開催され、12月9日以来だから久しぶりに参加した。 幹事役のななさんに「お見限りかと思いました」と言われてしまったが、ほとんど俳句の作り方を忘れた感じがした。 兼題は「桜」と「春惜む」で、新宿御苑吟行句も可だった。 私は、つぎの七句を出した。

ポトマックの桜戦時もきつと咲き
靖国の標準桜古りしかな
桜散る千鳥ヶ淵の墓苑かな
花筏吹き寄せられて色の濃き
花水木写メ撮る人や春惜しむ
ゴミ容器転がつてゐて春惜しむ
生垣は一度(ヒトタビ)赤に春惜しむ

 私が選句したのは、次の七句。
登校の桜下校の桜かな        礼子
剪りし枝口にふくみて桜守       美保
故郷へ帰りそこねて春惜しむ     庸夫
多摩川を次の橋まで春惜しむ     さえ
旬のもの天麩羅に春惜みけり     淳子
集ひまた叶はぬ春を惜しみけり    なな
寓の字の古りし表札竹の秋       盛夫

 私の結果は、互選ゼロだった。 ほとんど俳句の作り方を忘れた感じがした、不勉強の報いである。 スコンクかと覚悟していたところ、英主宰が<花筏吹き寄せられて色の濃き>を採って下さって、危うく救われた。 選評は、上手い句、凝った季題、数珠繋ぎになった花びらが、濃いように見えてきた、落花のときの景。

 主宰の総評。 「春惜む」は重い季題。 高浜虚子に<春惜む命惜むに異らず>があり、虚子忌(4月8日)を「椿寿忌」(戒名が虚子庵高吟椿壽居士)というが、「惜春忌」ともいう。 虚子の別号で「惜春居」という名前があり、「惜春居」という落款も使っていた。

 私の選句した句で、主宰選にもなった句の選評。 <多摩川を次の橋まで春惜しむ>…何川でもよい。橋と橋の、その間の景色を味わう、情がある。 <登校の桜下校の桜かな>…朝の青っぽい桜、夕方の色に染まった桜。朝と夕、それを見る心の様子も、それぞれ違う。 <集ひまた叶はぬ春を惜しみけり>…なるほど、今のコロナ禍を表わす。 <寓の字の古りし表札竹の秋>…そういう表札を見かけたんだろう。どんな人が住んでいるんだろうか。

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