ガラパゴス諸島をエクアドル国領にする計画 ― 2022/04/28 07:05
スタビンズくんとゾウガメのジョージは、ナンベイオオイヤガに導かれて、水源地に下りていく谷の崖で、高い木の上に、黄色い気球の布が引っ掛かっているのを見つける。 ドリトル先生が近くにいるはずだ。 すると、オウムのポリネシアが飛んできた。 ドリトル先生は足と手に怪我していたが無事で、再会を果たすことができた。 ドリトル先生のシルクハットの中には、予想通りナンベイオオイヤガのメスがいた。
スタビンズくんはジョージをドリトル先生に紹介し、ここはエクアドルだとジョージに聞いた物語をした。 そしてスタビンズくんは、ガラパゴスを守るためのひとつの方法を思いついたと、こう話し出す。 ガラパゴス諸島に一番近い南米の国は、新生エクアドルで、両方を赤道の線がつらぬき、地理上も一体化しているとみなせる。 フロリアン大統領は悪党だが、新生独立国の人々は熱気にあふれている。 そこで、今のこの独立の勢いを借りて、フロリアン大統領に、ガラパゴス諸島はエクアドルの持ち物である、と世界に先駆けて宣言させればいい。 そうすれば、イギリスも、スペインもそう簡単に手出しができなくなる。
だが、利用価値が何もないガラパゴス諸島だ、どのようにしてフロリアン大統領をその気にさせるか、オウムのポリネシアがその計略を話す。 人間はおろかな生き物で、ないことをあるかもしれないと想像してしまう、フィクションを信じることができる能力を持っている。 ガラパゴスを所有しておけば大儲けできる、と思わせればいい。 エクアドルのすべての人が憧れているもので、誰にも手に入れられないもの。 それは?と、ジョージに話を向ける。
「アタワルパの〝涙〟」。 インカ帝国が、スペインのピサロ率いる軍勢に滅ぼされ、捕らわれの身となった皇帝アタワルパは、暴虐なるピサロによって最後は処刑された。 そのときアタワルパが身につけていたピンク色に輝く大粒の真珠、それがアタワルパの〝涙〟だ。 アタワルパの怨念がこもっていたため、それを持つ者に災いがもたらされるとされ、予言通り数年後、ピサロは暗殺された。 もうひとつの伝説は、アタワルパの死後299年経過すると、その呪いは解け、アタワルパの〝涙〟の持ち主は万能の力を得るというのだ。 アタワルパは1533年に殺されたから、1832年に、つまりまもなく呪いが解けることになる。
アタワルパの〝涙〟は、現在、エクアドル国の宝物室の鉄格子の中に安置され、昼夜交代で4名の警護兵に見守られている。
オウムのポリネシアは、アタワルパの〝涙〟が、そんなにみんながあこがれるような宝物ならば、そんなピンクの真珠は、ガラパゴスに行けば山のように隠されているといえばいい。 それを聞いた人間たちは、それこそ頭の中がピンク色のお花畑になって、もういても立ってもいられなくなるだろう、と言う。
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