ガラパゴスを救う仕事に取りかかる2022/04/30 07:03

 ある日、ドリトル先生はエクアドル国の宝物室で秘宝の真珠、アタワルパの〝涙〟を見てきた。 正門前の通りの両側に並んでいる土産物店で、記念品として売られているアタワルパの〝涙〟の模造品も買ってきた。

 ガラパゴスを救うためには、これから先の仕事はとても大事なのだが、同時にとても難しく、極めて危なくもある。 そうドリトル先生は言い、手先が器用で、いろいろなことによく気がつくだけでなく、狭いところでも、高いところでも、すばやく入り込めて、速く走れ、かつ、勇気と慎重さを併せ持ったような人材、というよりネズミ材の募集をすることにした。 くじ引きで10名にしぼり、ドリトル先生が面接し、黒い小柄な女の子のネズミ、ルビイを選ぶ。 ルビイと宿屋の一室で、いろいろ予行演習を繰り返し、ドリトル先生は万一のときにルビイを助ける役割の者、つまり〝バディ〟を連れて行ったほうがよいと考える。 ルビイの意見を聞くと、斑(まだら)模様の小柄なネズミ、オパアルがいいと言う。

 つぎにドリトル先生はコウモリに、コオイムシを探してもらうよう頼む。 コオイムシのメスが卵を産むとき、お尻から粘液性のどろっとした液体を出してオスの背中に卵をくっつけるのだが、それは史上最強の瞬間接着剤なのだ。

 ゾウガメの長寿館に、身なりのよい服装の、日に焼けた男がやってきて、ジョージを一目見ると、スタビンズくんに「おい坊主、このゾウガメはもともと俺の持ち物だったのだ」と言う。 ロドリゲスだった。 ポリネシアがドリトル先生を呼んできて、先生はロドリゲスと英語で交渉する。 ゾウガメともうけの一部を返すことはすぐにでもできるが、ラテン語のクイド・プロ・クオ(quid pro quo)、This for that. 対等な交換条件として、もうけ話を提案する。

 わたしたちはフロリアン大統領にたってのお願いがある。 それは大統領にもあなたにも財をもたらすので、大統領に取り次いでいただきたい。 そうすれば、ガラパゴス諸島に関する耳寄りなニュースをお知らせできる。 クイド・プロ・クオのひとつ、若きスークレ将軍が暗殺された夜、あなたはフロリアンを屋敷にかくまっていた、それ以前にも、たびたびならず者があなたの屋敷に出入りして、あなたとフロリアンとで密談を重ねていた。 ガラパゴス諸島を救う有益な提案をしたい大統領との面会が実現すれば、クイド・プロ・クオで、わたしたちはジョージが見聞きしたことを水に流す。 ロドリゲスは「少し考えて、大統領とも話をして、のちほど連絡をする」と答える。

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