ドリトル先生、ガラパゴス諸島で3年間調査研究2022/05/03 07:05

 エクアドル国がガラパゴス諸島の領有を宣言した以上、そこには生活実態が必要だということになって、ロドリゲスが団長になり、移民希望者数十人を募って、政府が大型船を用意した。 ドリトル先生一行と故郷が懐かしいジョージも同行することになった。 晴れて当初の目的のガラパゴス諸島に行けるのだ。 栄誉ある領有宣言記念式典にも来賓として出席する。 出発の前夜、ネズミのルビイがドリトル先生の宿屋を訪ねてきて、移民団の一員として両親と一緒に行くことはできないか、と頼む。 最初の入植団は家畜を持っていかざるを得ないが、人間の居住区域内だけで飼育することを約束してもらった。 大陸の大型の哺乳動物は生息していないガラパゴスで、今まで生息していた動物や植物が絶滅したり、消滅したりしかねないからだ。 ルビイが恋仲になったオパアルも一緒にというのを聞き、それはめでたい、野生のネズミも少しだけはいるらしいが、ガラパゴスの固有種たちに影響を与えないよう、限られた区域で生活すると約束してくれるなら、今回の勇敢な働きゆえに許可しないわけにはいかない。

 このあと、実は、ルビイがスタビンズくんに重大な告白をしていた。 あれからオパアルとのことに毎日が夢見心地になっていて、アタワルパの〝涙〟は、糸を外しただけでドリトル先生に渡したのだ、と。 スタビンズくんは、気絶しそうになった。

 チャールズ島の海辺近くの小高い丘に、ロドリゲスと政府の人々は、エクアドルの国旗を高々と掲揚し、記念式典を挙行した。 イギリス風の名のついたこのチャールズ島は、フロリアン大統領にちなんで、フロレアナ島と呼ぶことになった。 移民団の拠点のフロレアナ島の北には、インディファティガブル島、西には大きなタツノオトシゴのかたちをしたアルベマール島、タツノオトシゴに抱かれるような丸い形のナルボロー島がある。 どの島にもそれぞれの島の環境にうまく適応したゾウガメ、リクイグアナとウミイグアナ、岩の上をチョロチョロするヨウガントカゲ、海辺にはアシカたち、それからフィンチ鳥やグンカンドリ、カモメなどが楽しく暮らしていた。 ドリトル先生とスタビンズくんは、移民船がつないできた小型の船を借りて、ガラパゴス諸島のいろいろな島を巡り、自然の観察調査を実施した。

 イギリスのビーグル号がガラパゴスに到着したのは、エクアドル国がガラパゴス諸島の領有を宣言してから、3年の月日が経ってのちだった。 すでにフロレアナ島の開拓村はかなりの規模になっていて、ドリトル先生とスタビンズくんも開拓村の一隅に小屋を建ててもらい、研究拠点とし、島の人たちのよろず相談と健康診断も担当していた。

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