『ちむどんどん』、反省会じゃない弁2022/10/02 06:59

 朝ドラの『ちむどんどん』(羽原大介脚本)が、9月30日で大団円となった。 SNSに「ちむどんどん反省会」というのがあるとかで、途中、まことに評判が悪かった。 批判が多いらしいという情報が、一人歩きして、見ている人も、見ていない人も、これは駄目だと思い込んでしまったのではないか。 私は、ずっと見ていたのだが、なかなか良かったように思う。

 ヒロインの比嘉暢子(のぶこの字が珍しいが、暢気の暢だった)の黒島結菜、きりっとした顔立ちは2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』で高杉晋作の妻を演じた時から、印象に残っていた。

 何といっても、母親の優子(優の字は人偏に憂だが、「憂」は憂える(もともと、頁の下に心という字)意でなく、「大きなかしらをつけて足踏みする意味。面をつけて舞う人、わざおぎ(俳優。役者。また、楽人)の意味を表す」という)の仲間由紀恵の優しいのがよかった。 終盤近く、素敵な着物で沖縄の舞を舞ったのが素晴らしかった。 やわらかい表情も、ことばも優しい。 仲間由紀恵に「大丈夫」と言われると、大丈夫のような気がするのだった。 磯田道史さんの本を下敷きにした映画『武士の家計簿』で、加賀藩の堺雅人の御算用者(算盤ざむらい)の妻を演じた時も、夫と家を支える優しさが光った。 ドラマが不評の時期、キャストやスタッフは、仲間由紀恵の「大丈夫」に救われたのではないだろうか。

 優しいといえば、山原(やんばる)の共同売店の山路和弘をやった前田善一と、猪野養豚場の猪野寛大をやった中原丈雄の、二人も挙げなくてはならない。 彼らが時折見せる笑顔が素敵で、安心させられるのだった。 猪野寛大の「寛大」さには、娘の清恵(佐津川愛美)も、失敗ばかりしていたが、養豚場に収まるニーニーの賢秀(竜星涼)も、救われたのであった。 ニーニーが額に卷く「一番星のスーパーバンド」だが、昔の少年雑誌の通信販売広告、スポンジらしい四角四角状の健脳器「エジソンバンド」の絵を思い出した。

 最終回あたりで、ヤンバルクイナの映像や音が流れた。 沖縄の言葉や食べ物の名前には、少しなじめないところがあった。 「ちむどんどんする」は、胸がわくわくする気持だという。 「真(まくとぅ)そーけー、なんくるないさ」とは、人として正しい行いをしていれば、自然と(あるべきように)なるものだ。 ちゃんと挫けずに正しい道を歩むべく努力すれば、いつかきっと報われる良い日がやってくるよ、ということだそうだ。 朝ドラ『ちむどんどん』のキャストとスタッフに、「なんくるないさ」と言いたい。

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