入船亭遊京の「つづら泥」2022/12/08 07:18

 11月30日は、第653回落語研究会だった。

  「つづら泥」        入船亭 遊京

  「禁酒番屋」 柳亭市弥改メ 柳亭 小燕枝

  「安兵衛狐」        古今亭 志ん輔

            仲入

  「富士詣り」        三遊亭 萬橘

  「猫定」           五街道 雲助

 入船亭遊京、扇遊門下の二ッ目だそうだ。 いろいろな所でやる。 九州最強の少年院でやった。 三階の会場へ、鉄の扉が三つ、会場のパーティションで仕切った中で着替える。 客が行進して入って来る。 「全体止まれ!」、引率の人が、伝統芸能の落語、ここに入らなければ見られない、面白いと思ったら笑いなさい、と。 「全体笑え!」じゃ、笑えない。 横浜刑務所にも、行った。 満席千人、こんな大勢の前で演じたことはなくて、笑わない。 前の方の人だけ、笑った。 聞けば、模範囚だそうだ。

 そこへ行くのは、与太郎じゃないか、つづら背負ってどこへ行く。 兄ィ、見逃して下さい、アタイ、泥棒に行く。 よしなよ。 自分の物を盗りに行くんだ、隣町の質屋、尾張屋へ。 断ってか? 黙って、盗って来る。 やんなっちゃったんだ、家の物はみんな質屋に入ってて、かかあが働けって、うるさくて、豆腐の角に頭をぶつけて死ねって言うんだ。 尾張屋から自分の物を持ってきて売って、豆腐を沢山買って、豆腐に飛び込んでやろうと、思ってね。 俺の道具箱も入ってる、俺も行こうか。 兄ィも、行ってくれるのか。

 戸締りがしてある。 気づかれずに忍びこもう、お前のつづらに二人で入って、「尾張屋さん、泥棒ですよ!」と叫ぶ。 お客様が置いていったに違いないと、店の中に入れるだろう。 兄ィは、泥棒に向いているな。  「尾張屋さん、泥棒ですよ! 泥棒が入ってますよ!」 起きて来ないよ。 「早く出て来いよ、面白いよ!」 番頭さん、表が何か騒がしい、見て来てくれないか。

 〇に柏、大工の与太郎さんのつづらです。 このつづら、与太郎さん家まで届けてくれないか。 松どん、一緒に行ってくれ。 眠いから、行きたくない。 行ってくれ。 重たいですね。 一旦下ろして、後ろ向きでかついでどうする、神輿じゃないんだから。

 ちょいと、お開け願います。 はい。 尾張屋さんの番頭さん、夜中に何です。 このつづら、お宅のですよね、ウチの前に置いてあったんで、こちらさんに泥棒が入ったんじゃないかと思います。 心配になって、お届けに来ました。 亭主野郎、どこかへ行った、私、許さない。 つづらの中に叩きこんで、出してやらないから。

 与太郎、寝てんのか。 今すぐ、起きます、ご飯炊きますから、ぶたないで下さい。 寝惚けるな。 つづらつづらと、寝てました。 様子を見てみろ。 ここ尾張屋か、汚たねえ家だな、壁ははげているし、箪笥はボロボロだ。 どこか開けてみろ、押し入れ。 半纏だ、どこかで見たことがある、アタイのは質入れしたっけ、いや、家出る時脱いで来た。 寝巻、アタイのだ、よだれのシミが付いてる。 あとは? 枕、見たことがある、アタイのだ。 俺の道具箱はないか? 台所、お釜の中におまんまがある、ご馳走になろう。 アタイが今朝炊いたおまんまだ、固いと頬っぺたつねられた。 お鍋、わかめの御御御付、辛ら過ると怒られた。 布巾も預けたんか。 誰か、いるよ。 お前さんじゃないか。 かかあまで、質に入れたのか、有難てえ…、これだけは流そう。

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