柳家権太楼の「二番煎じ」前半 ― 2023/02/07 06:59
個人的な話ですが、病んでおりまして、強い薬を服用して、顔がむくむ形になっている。 武蔵小金井の落語会で、この辺(右前方)のおばさん5、6人、指差して「むくんでる」と。 指差さないように、お願いします。
火事と喧嘩は、江戸の華、という。 明暦の大火、筑波下ろしのからっ風、江戸中を焼き尽くし、いろは四十八組、大名火消、などが出来た。 町々に番太郎が置かれたが、人生に疲れて、責任感がない。 自分の町は自分たちで守ろうと、自衛団が夜回り日回りするようになる。 子供の頃、ベビーブームで、くさるほど子供がいた。 1クラス60人、11組あった。 夏休みが終わると、1人いなくなった、引っ越しでなく。 缶カラに蝋燭を入れて、「マッチ一本火事の元」なんて、やってた。 百本にしようなんて、隣町と喧嘩、楽しい時代でした。 普通に戻ろう、文治と違うんだから。
ご苦労様、私が月番で、こんだけの人数は無駄だから、一の組、二の組に、分けたらどうだろう。 お互い様に、体のためにいい、いいこと言って下さった。 じゃあ、われわれは一の組。 伊勢屋の旦那が鳴子、黒川先生は拍子木、辰っつあんは金棒、宗助さんは提灯持ち、で。 伊勢屋の旦那、番頭から小僧まで風邪で、叱言を言ったら、丈夫なのが一人いますと、みんなで私を指差した。 不条理な話、奉公人は暖かい蒲団で寝ている、世の中、間違っている。 奉公人が楽して、旦那が夜回り、いい話じゃありませんか。 いい話だけど、寒いんですよ。
ウォーーッ、寒い。 拍子木、コツン、コツン。 黒川先生、チョン、チョンでしょ。 拍子木が、たもとから出たくない。 コツン、コツン。 駄目だ。 辰っつあん、金棒は? 手にくっついちゃうのよ、弥蔵組んで引きずっている。 ズルズル、ズルズル……、ピチャ、ピチャ。 水たまりだ。 宗助さん、提灯持ち、暗いね。 寒いんで、股倉に挟んでますんで。 黙って歩いてると、老人の徘徊だかどうか分からない、声を出して。 火の用心、火の回り! エーーーッ、エーーーッ、お安くしますよ、お座敷遊び…。 伊勢屋の旦那、一つ替え歌を。 ♪裏の背戸やに ちょいと 柿植えて 柿植えて ちょいと 火の用心 火の回り。 子供火遊び ボボボボ…… 火事になる。 黒川先生、一つ寒稽古のつもりで。 (謡で)火の用心、火の回り! よしなさい、方々の家で明りが点き始めた。
辰っつあん、昔、吉原(なか)で火の用心をやったことがあるって。 細い股引、長半纏でね、ちょいと形がいいんで、女が放っとかない、こっちへ来て一服しなんせ。 煙管の雨が降るようだ。 ♪火の用心、さっしゃりやしょう! お二階の回りやしょう! この声で、女がどんなに泣いたかと考えると、罪深いほどで。 ターーン。 日本一! 音羽屋! お上手、お上手。 ♪火の用心、さっしゃりやしょう! 辰っつあんが調子に乗ると、何回でもやります。 大棟梁! ホホホホホー、腹が減ってきちゃった。 戻ろう、戻ろう。
着いたよ。 寒かったね。 辰っつあん、後ろを閉めて。 宗助さん、炭を二つ三つ、放り込んで。 火に当たりましょう。 一の組は、分が悪い。 二の組は、暖ったかい思いをしてから、出て行けばいいんだから。
最近のコメント