いろいろな国語辞典を食べ歩く2023/06/03 07:00

 牟田郁子さんが、隔週水曜日の朝日新聞朝刊文化面のコラム「牟田郁子の落ち穂拾い」を書いている。 最初に見たのは、2月15日の「「おかざし」への進化」だった。 牟田さんがSNSで見かけたという言葉「おかざし」は、聞いたことがなかった。 会計時にスマートフォンやICカードをピッと鳴らすことを、「タッチしてください」ではなく、「おかざしお願いいたします」と言うのだそうだ。 『三省堂国語辞典』は、「かざす」の用例に「ICカードを~」を挙げているが、「おかざし」という名詞化(?)の例はまだ載っていないという。 牟田さんは、自動改札でこの世の鬱憤をすべてぶつけるような音を立てている人をまれにみるが、「おかざし」創案者は「叩きつけ」を回避したかったのだろうか、と書いている。

 3月15日は、「四者四様 辞書「食べ比べ」」。 学者芸人のサンキュータツオさんの著書『国語辞典を食べ歩く』を紹介している。 彼は毎日使う国語辞典を、岩国(いわくに)くん、三国(さんこく)くん、新明解くん、明鏡くんと、愛称で呼ぶ。 「歴史好きで保守派の優等生」「新しい言葉に敏感な現代っ子」などと擬人化して、四者四様の個性を読み比べている。

 ラーメンを「中国風の麵料理」と書くか、「しょうゆ味・みそ味・塩味などのスープに、メンマ・チャーシューなどをのせた中華そば」と書くか。 目玉焼きに卵が「二つ」要る理由。 コロッケは「本来は高級品」だった? なじみ深いメニューの説明を比べてみると、辞書の個性が際立ってくる、という。

 牟田郁子さんは、言う。 辞書の好みだって人それぞれ、用途に合わせて使い分けていい。 複数の辞書を使い比べる楽しみを味わってほしい。 パソコンやスマートフォン用のアプリには、複数の辞書をまとめて検索できるものもあり、「食べ歩き」がますます楽しい、と。

 念の為に、「目玉焼き」を辞書で引いてみた。 『広辞苑』…「割り入れた卵をくずさずにそのまま焼いたもの。黄身を目玉に見立てていう。」 『新明解国語辞典』…「鶏卵を二つ落として、並べて焼いた卵焼き。[広義では、卵一つ使用のものも指す]」。 『明鏡国語辞典』…「フライパンに(二個の)卵を割って落とし、黄身をくずさないように焼いたもの。▶黄身を目玉にみたてていう。」

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